“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
国見から13年ぶりの高卒Jリーガー 札幌内定188cm中島大嘉の名前の由来はあの偉大なストライカー
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/11/13 17:01
来季J1札幌入りが決まっている国見高3年FW中島大嘉。選手権予選の準決勝で敗れ、悔しい思いを滲ませながら撮影に応じた
部屋に閉じこもり、サッカーから遠ざかった
「中1の冬に目の手術をしたんです。それで3カ月くらいサッカーができない時期がありました。復帰したその週に大阪府トレセンの選考会に参加したのですが、体が動かなかった。もちろん3カ月近く動いていなかったので、いいプレーができるわけがないと頭ではわかっていました。それでも自分の方がうまいと思っていた選手たちにたった3カ月の間に実力で逆転された感覚に陥って、実際にトレセンも落選。むしろ選考会でみんなの足を引っ張っていたのは自分だった。この衝撃が大きくて、ちょっとした鬱状態になってしまったんです」
自宅の部屋に閉じこもり、大好きだったサッカーのことすら考えられない日々が中学2年の秋まで続いた。何をするにも気力が湧かず、ただひたすら時間が過ぎるのを待ったという。
「でも、だんだん『このままじゃ、やばいな』と考えるようになった。このままだったら周りに迷惑をかけるし、なんとかしなきゃいけないと思った時に改めて『自分にはサッカーしかない』と思えたんです。サッカーが嫌いになったわけではなく、あの精神状況でサッカーを無理に続けたら、サッカーのことを嫌いになってしまうという恐怖の方が大きかったんです。自分を守るために、大好きなサッカーを守るために、あえて自分から遠ざかっていた。だから改めてサッカーに戻りたいと思えたし、もう一度奮い立つことができたんです」
改めて気づいた自分の長所とは?
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学校に行って、休んでを繰り返しながらも徐々に日常とサッカーを取り戻していく。幸い、学校の仲間もチームメイトも優しく接してくれたことで、中島の目に輝きがよみがえっていった。同時に成長するライバルに対しても、「焦り」ではなく「刺激」を感じていた。
「小学校から知っている唐山翔自(ガンバ大阪)も、チームメイトだった樺山諒乃介(興國高校、来季横浜F・マリノス内定)も戻った時にはめちゃくちゃうまくなっていて衝撃を受けました。それに試合もあまり出ることが出来ませんでしたが、ちょっとワクワクしたんです。いつか抜いてやるぞって」
引きこもったことがプラスに働いたこともある。自宅にいる期間で身長が20cmも伸びたが、運動をしていなかったこともあり、成長痛やそれに伴う異変が起こらなかった。復帰後も、違和感なく身体を操作できたことで、改めて自分の大きな武器を再発見することができた。
「走ってる時に周りを見たら、めっちゃ遅く感じたんです。後からみんなに聞くと『お前、めちゃくちゃ速かったぞ』と言われたんです。そこで自分の強みを取り戻せたことがめちゃくちゃ嬉しくて、一層サッカーに没頭することができました」