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【巨人連覇・強さの根源】菅野智之が乗り越えた“原家の呪縛”と「最大の欠点」とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/11/01 06:01
10月6日、DeNAに勝利し、原監督(右)と言葉を交わす巨人・菅野。開幕から13連勝、通算100勝を挙げた
原監督「トモは僕の現役時代をもうとっくに乗り越えた」
「いいピッチャーとは人それぞれあると思いますし、それぞれに美学もあると思いますが、ただ1つだけ言えることは、(原)監督もよく言いますけど、いいボールを投げる寸評会じゃないということ。どんなにいいボールを投げても、打たれたら元も子もない。野球ってそういう競技だと思います」
プロ野球でこれだけ実績を積み重ねてきても、今季は新たな境地を求めて新フォームに挑戦した。完璧を求め、更なる高みを目指す気持ちに変わりはない。
「プロに入る前は160kmを投げたいと思っていましたし、それはアマチュアだから目指すべきところであってもいいと思う。ただ、プロに入って野球によってお金をもらうということは自分自身だけの自己満足じゃどうにもならないと思います。夢を追うにも限界がある。そういうことに気づいたのは結構早かったかもしれない。割と早い段階でそっちのマインドにシフトしたと思います」
ただ、1度マウンドに上がれば、チームの勝利を至上命令に、自分を捨ててただ勝つことだけを目的に投げる――そういう野球を求められるのもまた、原家の呪縛なのである。
その呪縛を乗り越えて作り上げた記録に意味があった。
「トモはね、投手として、プレーヤーとしては僕の現役時代をもうとっくに乗り越えた選手になっていますよ」
原監督がこう語っていたのは2年連続最多勝と沢村賞に輝いた2018年のことだった。
菅野智之はもう何者でもない。
菅野智之となったのである。
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