熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
“戦力外”中島翔哉がポルトで信頼回復 安西幸輝に権田修一は…ポルトガル日本人の現状序列
posted2020/10/30 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
中島翔哉が、7カ月半ぶりに、心の底から笑った。
10月24日、ポルトガルリーグ第5節ジウ・ビセンテ戦で今季初先発。前半41分、左サイドでパスを受け、縦へ抜け出すと、左足で低く鋭いクロスを放つ。ゴール前へ走り込んだエバニウソンが、右足で難なく合わせた。
今季加入してこれが初得点のセンターフォワードは大喜びで、小柄な背番号10を指差し、左膝を突いて右太ももを差し出す。中島が右足を乗せると(ただし、パスを出したのは左足だったのだが)、シューズを磨くポーズでアシストに感謝した。中島は他の選手からも祝福され、全身で喜んでいた。
これが決勝点となり、ポルトはリーグ戦の順位を3位に上げた。
CLオリンピアコス戦でも大仕事
その3日後、ポルトは欧州チャンピオンズリーグ(以下、CL)のグループステージ(以下、GS)第2節でオリンピアコス(ギリシャ)をホームへ迎えた。第1節でマンチェスター・シティに敗れており、グループで2位以内に入って勝ち上がるためには絶対に勝たなければならない。クラブにとって、今季、最も重要な試合の1つだったはずだ。
後半15分、1-0でリードしている状況で中島がピッチに送り込まれた。オリンピアコスの攻勢が続き、なかなかパスが回ってこないが、左サイドの守備を懸命にこなす。
そして迎えた後半40分、ゴール前でパスを受けた。左へ出すと見せかけ、右サイドの裏へ絶妙のスルーパス。FWムサ・マレガがライナー性のクロスを入れると、走り込んできたMFセルジオ・オリベイラが頭で叩き込んだ。
これで勝負あり。ポルトは貴重な勝ち点3を手にし、中島は2試合続けてチームの勝利に貢献した。