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“戦力外”中島翔哉がポルトで信頼回復 安西幸輝に権田修一は…ポルトガル日本人の現状序列
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/10/30 11:01
リーグ戦、CLともに出場機会が巡ってきている中島翔哉。ポルトの10番は2年目こそ輝けるか
地元紙も「信頼を回復しつつある」
地元紙は「この日本人アタッカーは、少しずつセルジオ・コンセイソン監督の信頼を回復しつつあるようだ」と書いた。
まだレギュラーではない。しかし、わずか2カ月前に「戦力外」と報じられたことを思うと「よくここまで失地を挽回した」と褒めるべきだろう。
昨年7月、ポルトは移籍金約1200万ユーロ(約15億円)で中島の所有権の半分を買い取り、アルドゥハイル(カタール)から獲得。エースナンバーを与え、会長は「以前からどうしても欲しかった選手。攻撃の主役を担ってほしい」と語った。
この頃、中島の前途はバラ色に輝いて見えた。しかし人生はなかなか思うようにならないものだ。2列目左サイドのレギュラー争いで、パワフルなコロンビア代表FWルイス・ディアスに先行を許す。一時はポジションを奪いかけたが、故障して控えに逆戻り。
3月7日のリーグ戦で先発し、チーム唯一の得点をアシスト。ところが、その直後、新型コロナウイルスの感染拡大のためシーズンが中断される。
5月初め、ポルトは練習を再開。しかし、中島は「体調を崩した妻を自宅で看病したい」として練習参加を拒む。この行動に監督とチームメイトが反発。以後はチームから除外され、本人が希望しても全体練習に参加させてもらえなかった。
ポルトは、中島抜きでリーグとポルトガル杯の2冠を達成する。
他の選手の要請でクビがつながった
今季のプレシーズン練習は8月24日に始まったが、中島の姿はなかった。地元メディアは、「監督の構想外」、「クラブは移籍先を探している」などと報じた。
結局、中島は1週間遅れでチーム練習に加わる。このとき、コンセイソン監督は「彼がここにいるのは、チームメイトが望んだから」と明かした。つまり“今季の戦力構想には入っていなかったが、他の選手の要請でクビがつながり、チームに復帰できた”というのである。