「試合中の90分間は日常を忘れて」

　近年、指導者と選手との関係性や距離感というものが問われ、注視される時代になってきている。そうしたなかで日々、内容と結果の両方を厳しく追い求め、さらに選手から強く慕われるミシャという存在がこの国にいるというのは、あまりにも価値の大きなことではないだろうか。

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　200勝という数字は極めて素晴らしい。偉業だ。ただし、選手が指揮官を慕いながらの200勝であることも踏まえて考えると、この戦績はより大きなものに感じてしまう。

　試合でパフォーマンスが悪かった選手に対して敢えて「私は次節もキミを先発で使う」と明言し、奮起させることもあった。繰り返しになるが、単純に結果を追い求めての200勝ではない。選手の成長を促し、時には待ちながらの道程でもあった。

「観ている人には、試合中の90分間は日常を忘れて楽しんでもらいたい」

　ただ勝つだけではいけない。観客を楽しませようと日々、トレーニングを続ける。ベンチ前で大声を発する。選手の心も見通す。63歳になってなお、そうやってエネルギッシュに生きる名将の姿からパワーをもらっている人は少なくないはず。

　勝敗にかかわらず、そうした姿はとても貴重なものだと思うし、これからも元気に攻撃的なサッカーを追求し続けて欲しいと心から願う。

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