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札幌でも愛されるミシャのJ1通算200勝 「楽しませる」哲学と求心力は広島&浦和時代と同じ

posted2020/10/27 17:03

 
札幌でも愛されるミシャのJ1通算200勝 「楽しませる」哲学と求心力は広島&浦和時代と同じ<Number Web> photograph by J.LEAGUE

60代となったミシャ。Jリーグ監督生活は10年以上を優に超えるが、代名詞の可変システムと共に積み上げた200勝は立派の一言だ

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斉藤宏則

斉藤宏則Hironori Saitoh

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J.LEAGUE

 10月24日の横浜FC戦後、札幌の野々村芳和社長から大きな花束を渡されると、ミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督は盛大な拍手が湧き起こるスタンドに向けて笑顔で手を振った。

 史上3人目となるJ1通算200勝。外国人監督としては初となる偉業を成し遂げた。

 試合後はミシャらしい言い回しで感想を述べた。「節目の勝利は嬉しい」という大前提があったうえで、「観ている人を楽しませることのほうが大事」。そして「楽しませることができなければ、それはサッカーではない」とも言った。攻撃的なプレースタイルを一貫して標榜する指揮官らしい言葉だろう。

「超攻撃的だ」とぶち上げてこそ

 当たり前だが200勝は連勝ではない。2006年に広島の監督として日本でのキャリアをスタートさせてから、白星もあれば黒星もあった。安易な表現になるが、200の歓喜の間には多数の悔しさも存在していたはずだ。

 前述したように攻撃的なサッカーを標榜するのがミシャだ。札幌就任時には「攻撃的ではない、『超攻撃的だ』」とまでぶち上げた。

 そうしたスタイルゆえ、広島、浦和時代も含めてカウンターから失点し敗れることも多々あった。

 もう少し攻守のバランスを意識した戦いをしていれば、200勝到達はもっと早かったのではないか? と見る向きもあるかもしれない。だが、他人が言うのはあまりにもおこがましいが、それではミシャがミシャではなくなってしまうのだろう。

 観るものを魅了するアタッキングスタイルを徹底して目指し続け、体現しているからこそ、長年日本で請われ続けているのだと感じる。攻守のバランスがしっかり整ったサッカーをするのならば、ミシャである必要はない。

【次ページ】 「少し負け出すとゴール前に……」

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