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【ドラフト】「奪三振率15.00の快速王子」「182cm技巧派イケメン」八学大“道道コンビ”は指名なるか?
posted2020/10/22 11:03
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Ryotaro Nagata
圧倒的――。その言葉がピッタリだった。
9月26日に全日程を終了した北東北大学野球。八戸学院大学の大道温貴(おおみち はるき)は、その中でひと際輝きを放ち、その存在が特別であることを、球場に集まる全ての者達に見せつけた。
開幕週の岩手大学戦では、プロ7球団のスカウトが彼の投球に注目する中、大道は最速150kmのストレートと切れ味鋭いスライダーを武器に岩手大打線をノーヒットノーラン(7回参考)に抑えた。22人の打者から13個の三振を奪う快投は、ドラフト上位候補の前評判にふさわしい堂々のピッチング。各球団のスカウト達も彼の成長に頷いた。
第3週の青森大学戦は、昨秋優勝の同大を相手に終始、自分のペースで試合を進めた。3回表の2死二、三塁のピンチも、慌てた素振りを見せることなく、青森大の3番・友利有也を内角ストレートでキャッチャーフライ。先頭打者を出した4回表も内野フライ2つと三振で難なく切り抜けた。終ってみれば9回5安打、126球の完封勝利。奪三振数こそ7で終ったが、勝負所ではギアを上げ、青森大打線に自分のスイングをさせない姿に力の違いを感じさせた。
大道が言う。
「(今日は)ストレートがわりと走っていたので、スピンをかけて、打ち損じてくれたら良いなと思って投げていたんですけど、その通りになってくれました。ベストな投球が出来たかなと思います」
青山浩二さんのようなピッチャーに
今春は新型コロナウイルスの感染拡大で、宮崎で予定されていた春季キャンプが中止。4月18日に開幕予定だった春季リーグも延期の末、開催中止になる不運に見舞われた。それでも自身を見失わず、今、すべきことを黙々とこなしてきたところに彼の強い精神力を感じる。その先に見据えるのはプロの世界で何年、何十年と輝き続ける自分の姿だ。
9月5日の青森大戦の試合後には、こんなことも話していた。
「監督が昨日、(大学OBで現東北楽天の)青山浩二さんの600試合登板のTシャツを着て『15年間連続白星なんて凄いよなあ……』と話しているのを見たんです。自分もそういうピッチャーになりたいと思いました」
そのための準備もしている。