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【ドラフト】「奪三振率15.00の快速王子」「182cm技巧派イケメン」八学大“道道コンビ”は指名なるか?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2020/10/22 11:03
八戸学院大学からプロ野球入りを目指す大道温貴(左)と中道佑哉(右)
柳沼スカウトはこう話を続けた。
「プロの試合でもワンバンしたボールを振るバッターを見かけると思いますが、あれもピッチャーが真っ直ぐと同じ腕の振りで変化球を投げているからこそ、(相手打者は)釣られて、振らされているわけです。大道と同じくらいの球速を投げるピッチャーでも、空振りが獲れるピッチャーと、そうでないピッチャーに分かれるのはここがポイント。彼の良さではないですか」
今秋のドラフト会議で彼の名前が早々に呼ばれるのは間違いないだろう。
大道とともに注目される“もう1人の男”
そんな大道の姿に、強い刺激を受けている男がいる。同僚の中道佑哉だ。
大道が「快速王子」と呼ばれる一方で、中道も182㎝の長身に端正なマスクが印象的。一見、モデルと見間違うほどの容姿で、マウンドに上がると圧巻の投球を見せる。今秋は、開幕週で岩手大を5回1安打無失点に抑えて白星発進すると、第3週の青森大戦では初回の3者連続三振を皮切りに10奪三振。9回121球を投げ切り、大道に続くノーヒットノーランを達成した。
「今日は全体的に良かったですね。その中でもストレートとスプリットが特に良かったので(得意の)スライダーはあまり使わずに、コントロールもバラつきなく、抑えたいところで抑えられたのかなって思います」
今秋はストレートの最速も146kmに更新した。
「自分、技巧派なので……」と本人は照れ笑いを浮かべるが、リーグ最終戦に組み込まれた青森中央学院大戦では7回で17個の三振を奪う快投を見せて、ここに来ての充実ぶりが窺える。
「4年目にしてフォームが固まって来たと言うか、自分の中でも一番しっくりする形になったのが大きいです。昨年までは俗にいう『力を入れて投げる』感覚が分からずにいたんですけど、体の使い方がわかるようになって、どこで力を入れて、どう投げるのかが分かったような気がします。(ウエート)トレーニングとかは特にしていないのですが、体幹やインナーマッスル系、あとは指先を鍛えるトレーニングを取り入れてやってきました」
自粛期間は投球の幅を広げるようスプリットを密かに磨いてきた。左打者の内角、右打者の外角にキュッと落ちるボールは、今秋の彼の投球を語るのに欠かせないものになっている。正村監督も、中道の成長に頷いた。
「チェンジアップかツーシームかスプリットかはよく分かりませんけど、あのボールがだいぶ良くなったんじゃないですか。以前と比べ、対右打者の攻め方が良くなったと思います」