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“NYから期待され続けた”田中将大 7年前の「ヤンキース高額投資」は成功だったのか? 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byGetty Images

posted2020/10/20 17:04

“NYから期待され続けた”田中将大 7年前の「ヤンキース高額投資」は成功だったのか?<Number Web> photograph by Getty Images

ヤンキースの田中将大投手

 ところが、プレーオフでの意外な乱調でそんな評価も急変。ヤンキースが残留を望む可能性は依然として高いものの、直近の結果と31歳という年齢を考えれば、契約年数、年俸といった条件はより厳しいものになるかもしれない。

 ただ……すべてのあとで、冒頭のキャッシュマンGMの言葉はやはり単なる社交辞令とは思わない。結局のところ、田中がニューヨークで過ごした7年間は成功として振り返られるのではないか。最後のプレーオフでの結果が思わしくなかったからといって、これまでにやり遂げたことの価値が消えるわけではないからだ。

2013年オフの高額投資は「正解」だったのか

 新陳代謝の激しい米スポーツでは“永遠”とも思える7年という期間において、田中は黙々とニューヨークのマウンドに立ち続けた。その間、勝率.629は現役ピッチャーの中で9位、K/BB率は同4位。5年以上の長期契約は失敗に終わることが多いメジャーで、契約期間を通じて戦力であり続けたことはそれだけで特筆されて良い。

「アンディ・ペティートの信頼度、オーランド・エルナンデスの大舞台の強さを持った投手」。今季終盤ごろ、ニューヨークポスト紙のジョエル・シャーマン記者は田中をそんな風に評していた。ほとんど理想的な先発2番手だったレジェンド左腕のペティートよりも、田中はヤンキースでの6年間で61勝40敗、防御率3.96を残したキューバ人、エルナンデスの方に近かったかもしれない。希有なマウンド度胸を持った通称“エル・デューケ”がニューヨークの成功者として認められているのと同様、田中の7年間も、“海外からの輸入品の成功例”として認識されていくのだろう。

「ヤンキースでプレーした当人たちにしかわからないものっていうのはたくさんある。この7年の中でワールドシリーズ制覇、チャンピオンリングを取ることはできませんでしたけど、一選手として、人間として本当に言い表せないぐらいのたくさんのものを学ばせてもらいました」

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田中将大
ニューヨーク・ヤンキース

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