プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“ミスター”から受け継ぐ帝王学 阿部慎之助ヘッド代行をあえて自由に動かせた原辰徳監督の思惑
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/10/02 17:00
巨人軍監督になるための“教育”は長嶋茂雄終身名誉監督から原監督(左)へ、原監督から阿部二軍監督(右)へと受け継がれている
ヘッド代行としてあえて自由に動かせた
原監督はそのときの自分の心境をこう振り返っている。
「だから逆に自分でいろんなことを考えるんですよ。野球に絶対の正解はない。答えはいくつもある。だからそのいくつもある答えを探して、僕は色んなことを考えた。それが監督になったときに大きな糧になったと思いますね」
今回も原監督は阿部ヘッド代行の進言はほぼ全て受け入れ、あえて自由に動かせた。その中で成功したこともあればうまくいかなかったこともある。
その1つひとつの現実を阿部ヘッド代行自身がどう受け止め、自分の中に取り込んでいくか――それが阿部二軍監督にとっての、この15日間の一軍の旅の意味なのだろう。
「やっぱり決断力だったり、すごくびっくりさせられることが多かった」
指導者として同じベンチで見た原監督の姿についての阿部ヘッド代行の感想だ。
「他のコーチもいますし、決断を早くすることでチームがうまく回るんだなと感じた。そういうのを(二軍に)戻ってからもできるようにやりたいなと思っています」
ここで一軍の旅はひとまず終わる。
10月2日からは再び二軍監督として若手と汗を流しながら戦う日常へと戻るが、この15日間の旅の経験で指導者・阿部慎之助はまた新たなステージへと進むはずである。