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「ついにメッシを破った」ジダンはなぜ監督として成功できたのか バルダーノら10人の証言
text by
フレデリック・エルメル&フローラン・トルシュFrederic Hermel et Florent Torchut
photograph byFranck Faugère/L’Équipe
posted2020/09/20 11:50
選手として輝かしい成績を残したジダン。彼を良く知る10人が語る「監督・ジダン」とはーー。
フレデリック・エルメル「彼は新たなライバルを見出した」
『フランス・フットボール』誌スペイン通信員、ジダンの伝記作者
「彼の復帰を私は望んでいなかったし、誰もが同じ気持ちだっただろう。ジダン本人すらそうだったかも知れない。彼がレアルに復帰するのであれば、もっとずっと後になる。あるいはもう2度とありえない。そう思ったからこそ私は、2018年秋に彼の伝記(『ジダン』フラマリオン社)を書き記した。それが彼のレアルでの締めくくりになり、私のマドリードでの記者活動の集大成にもなるからと。
だが、ベンチに復帰した彼を見て、私はあることに気づいた。ジダンは自身を《コンペティター》と定義している。その言葉を会話の中でも繰り返し使っている。もちろん対戦相手に対する《コンペティター》の意だが、今回の復帰で彼は新たなライバルを見出した。2度目の監督に就任したジダンは、最初のジダン(9つのタイトルを獲得)よりも好成績を挙げねばならないからだ。1月のスーペルコパ・デ・エスパーニャとリーガをあわせ、すでに2つを彼は獲得した。ジズーに限っては、『あり得ない』ということは絶対に『あり得ない』のである」
パウデュラン・バスアルバロ「誰にでも出来ることではない」
1967年以来のFCバルセロナのソシオ
「彼は常に真剣に仕事をこなし、自らのチームだけに向き合っている。そこがジョゼ・モウリーニョとはまったく異なるところだ。モウリーニョは相手への挑発に多くの時間を費やす。ジダンが成功したのは選手が彼をよく理解し、ピッチの上で彼の理念を具現化していったからだ。
選手とジダンは強い信頼関係で結ばれている。彼の後、2人の監督が引き継いだがタイトルには至らず、レアルは再びジダンを起用した。彼はスター選手たちから最大限を引き出し、素晴らしい結果を得た。誰にでも出来ることではない」
ホセルイス・マルチネス・アルメイダ「常にトップクラス」
マドリード市長、アトレティコ・マドリーのサポーター
「どのクラブの支持者であれ、ジダンが優れた価値を体現していること、単にレアルのシンボルというだけでなく、スポーツ界全体のシンボルであることを認めざるを得ない。誰もがジダンには称賛の念を抱く。
彼は紳士的な態度でどんな場面でもコントロールする。サッカーのようにプレッシャーが半端ではないスポーツで、これは容易なことではない。しかもレアルという注目度の高いクラブではなおさらだ。彼はピッチの中でもまたピッチの外でも、常にトップクラスであり続けている」
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