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天衣無縫イブラ様、再契約は「ミラン愛のためだけだ」 名門復活へ赤黒根性200%

posted2020/09/21 09:00

 
天衣無縫イブラ様、再契約は「ミラン愛のためだけだ」 名門復活へ赤黒根性200%<Number Web> photograph by Getty Images

来月39歳となるイブラヒモビッチだが、衰えて隠居になるつもりなんてさらさらないはずだ

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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 ミラニスタたちが湧いている。ロッソネロ(赤黒)122年目のシーズンが、幸先よく始まったからだ。

 17日に行われたEL2次予選で、ミランはシャムロック・ローバーズ(アイルランド)を相手に2-0の完勝を収め、3次予選に駒を進めた。新シーズンの公式戦初ゴールを決めたのは、FWイブラヒモビッチの鮮やかな右足だった。

「俺はミランを勝たせるためにここにいる。マスコット役をやるためじゃない」

 開幕を控えるセリエAへの期待も膨らむ。

 例年より遅い初秋の移籍市場では、“ピルロ2世”の本命とされるMFサンドロ・トナーリ(前ブレシア)とR・マドリーの俊英ブラヒム・ディアスが入団。特にイタリア代表の次代を担う若き司令塔トナーリの獲得は、王者ユベントスと仇敵インテルを出し抜いての金星だけに余計に“してやったり”感がある。

マルディーニもピオリも残ってくれた

 才能あふれる若手入団に加えて今季のミランが楽しみなのは、再建の礎となるべき男たちがきちんとクラブに残ったことだ。

 経営陣との対立で辞任濃厚だったTDパオロ・マルディーニが翻意し、チーム強化に本腰を入れ始めた。昨季途中から就任した監督ステファノ・ピオリも、今季の留任を勝ち取っている。

 ミランの親会社である米国ファンド「エリオット」の威光で強権を振りかざすCEOイバン・ガジディスが、昨冬からドイツの名将ラングニックの招聘計画を進めていたのは周知の事実だった。

 針のむしろの上で、仕事人ピオリは忍耐強くチームを勝たせることだけに集中し、ロックダウン後に再開されたリーグ戦12試合で9勝3分、唯一の無敗チームとして快進撃をもたらした。昨季後半戦19節で積み上げた勝点41は、アタランタに次ぐリーグ2位の好成績だ。

 コロナ禍による3カ月間のリーグ戦中断と再開という難しい条件下で、ピオリは文句のつけようのない結果を出した。彼にとって今季の契約延長は指導者キャリアにおける一大勝利といっていい。

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