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「ついにメッシを破った」ジダンはなぜ監督として成功できたのか バルダーノら10人の証言
text by
フレデリック・エルメル&フローラン・トルシュFrederic Hermel et Florent Torchut
photograph byFranck Faugère/L’Équipe
posted2020/09/20 11:50
選手として輝かしい成績を残したジダン。彼を良く知る10人が語る「監督・ジダン」とはーー。
ホセラモン・アレサンコ「素晴らしい監督だと思う」
元FCバルセロナ選手
「彼が最初にレアルの監督に就任したとき(2016年1月)、荷が重すぎるのではというのが正直な思いだったが、すぐにそれが間違いであることに気づいた。選手たちは彼に心から従い、最大限の敬意を示した。そして彼の言葉に全幅の信頼を寄せた。それこそが最も重要なことだった。素晴らしい監督だと思う。レアル・マドリーのロッカールームをスムーズにコントロールできる監督などそういるものではない。ピッチの選手はベンチに座るジダンを見て、彼のしぐさに注意を払う。彼が選手に向ける指示の1つひとつが、選手たちのパフォーマンスに影響を与える。
レアルを再び勝利のダイナミズムへと導いたのは間違いなく彼の功績だ。2度目の監督就任で即座にそれを実現するのは決して簡単ではない。バルセロナでは、誰も彼の哲学や指導のノウハウを議論しようとはしない。彼はシンプルであり続ける術をよく心得ている」
フランシスコ・ブーヨ「強く印象を受けた戦術面での手腕」
元レアル・マドリーGK
「ジダンはその知性をチームのために存分に活用した。就任するや彼は、ロッカールームをいかにうまくコントロールするかがレアルにとって最重要であると理解した。そしてこの領域で、彼は誰も想像できないほどに手腕の冴えを見せた。だが、それだけがジダンが監督として成功した理由ではない。もっと重要な理由、それは2019年3月に彼が監督に復帰したときから私が強く印象を受けた戦術面での手腕だった。
彼は状況を綿密に分析した。シーズン50得点を記録するクリスティアノ・ロナウドのいないレアルで、どんなチームを構築すべきかをじっくりと考えた。同じやり方では続けていけない。結論は守備の強化だった。そして構築したのは、レアル史上でも類を見ない守備に重きを置いたチームだった。今のチームは高度に組織化され、すべての領域でバランスが取れている。それこそがジダンが追求し、ジダンが構築したチームだ」