Jをめぐる冒険BACK NUMBER
“J5”監督挑戦、岡山一成「指導者って夢がある」 コロナ禍と雷の記憶、鬼木達の助言
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2020/09/16 17:05
VONDS市原の監督に就任した岡山一成。新型コロナウイルスの影響について触れつつも、JFL昇格への意欲を語った。
「ミラも『ぜひ、やるべきだ』と」
'19年シーズンの終盤を迎えた頃、岡山は鈴鹿アンリミテッドに許可を取ったうえでVONDS市原と会談の場を持った。そして、自らがどんなサッカーをやりたいのか、熱弁した。
「といっても、難しいことは言ってないです。まず走る。全員で走って、全員で攻めて、全員で守る。ボールを取られたら、取られた人が取り返しに行って、切り替えを速くする。地決はみんなが走れなきゃ、勝てないんですよ。そういう話をした。VONDSサイドの話も聞いて、これはぜひ、やりたいなと」
指導者として次のステージに向かおうとするコーチを、鈴鹿アンリミテッドは違約金を取ることなく、快く送り出してくれた。
「ミラも『ぜひ、やるべきだ』と言ってくれて。代表の方も『もう1年やってほしいけど、岡山さんがすごく成長して、いつかアンリミに帰ってきてくれる、という思いで送り出します』って」
こうして市原の地で、“監督・岡山一成”は誕生したのだった。
山岸智もいるが、ほとんどが働きながら
VONDS市原は、千葉県市原市をホームタウンとする市民クラブである。'16~18年には、かつて清水エスパルスを率いたゼムノビッチ・ズドラヴコ監督が指揮を執り、川崎フロンターレで活躍したレナチーニョが在籍していたことでも知られる。'20年2月には将来のJリーグ入りを目指す「Jリーグ百年構想クラブ」として認定された。
現在、チームには29人の選手が在籍しており、そのなかには、ジェフ千葉やサンフレッチェ広島で活躍した山岸智がいる。
プロ契約の選手も何人かいるが、ほとんどの選手が働きながらサッカーをしており、多くの選手が市原市内の老人介護施設に介護士として従事している。
大半の選手たちが仕事を持っているため、プレシーズンキャンプを組めなかったが、連日、徹底的に走り込み、ハードなトレーニングで追い込んで開幕に備えていた。
アクシデントに見舞われたのは、その矢先のことだった。