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“J5”監督挑戦、岡山一成「指導者って夢がある」 コロナ禍と雷の記憶、鬼木達の助言
posted2020/09/16 17:05
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
JFL(J4に相当)昇格を目指し、地域リーグを勝ち抜いたチームを待ち受ける高き壁――。
それが、全国地域サッカーチャンピオンズリーグである。
かつては「全国地域サッカーリーグ決勝大会」という名称で、「地決」と略されていたこの大会には全国から12チームが参加。1次ラウンドと決勝ラウンドに分かれ、いずれも週末に3日連続の3連戦をこなす過酷な大会である。
なぜ、これほどの過密日程が組まれているのか。
地域リーグでプレーするほとんどの選手は、サッカー以外の仕事で生計を立てている。そのため、週末に集中的に試合をこなす必要があるのだ。
体力の消耗もさることながら、3日間ずっと心理的プレッシャーを抱えながら、緊張感を保つのは難しい。短期決戦であるため、チームの歯車がひとたび狂えば、修正することも簡単ではない。
FC今治の岡田武史オーナーの提案により、今治がJFLに昇格した翌年の'18年から決勝ラウンドは水、金、日と中1日の試合間隔になったとはいえ、それでも1次ラウンドの3試合と、決勝ラウンドの3試合を1週間で戦う過酷な日程であることには変わりなく、ピーキングやコンディショニング、戦い方など、独特の対処法が必要となる。
「地決」を勝ち抜いたという経験
そんな「地決」を勝ち抜いた経験が、岡山一成にはあった。
その経験が、VONDS市原は喉から手が出るほど、欲しかった。
「VONDSが初めて地決に行った2014年、1次ラウンドで僕がいる奈良クラブと対戦しているんです。奈良クラブが勝って、そのまま地決で優勝してJFLに昇格した。そのとき、僕がチームをまとめている姿を見ていたみたいで」
一方、VONDS市原はその後、'17年、'19年と全国地域サッカーチャンピオンズリーグに出場しながら、高き壁に跳ね返されてきた。
「地決を知らない監督を連れてくるより、たとえ監督経験がなくても、地決を知っている人に任せるほうがいいんじゃないかということで、僕に託してくれたんです」