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天才司令塔ピルロが“仮免”でユーベ監督。セリエA10連覇&CL制覇へ模範はジダン。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/09/03 07:00
ユーべの監督になった名司令塔ピルロ。クリスティアーノ・ロナウドら名手を束ね、セリエA10連覇の偉業に挑む。
寝る時間以外サッカー漬けの日々。
代表組の練習時間の少なさやリハビリ中のFWパウロ・ディバラら主力の回復具合、さらに戦力外通告をしたFWゴンサロ・イグアインの処遇問題など、ウィズ・コロナ時代の最初のシーズンへの不安材料は多いが、新監督はキャンプ第1クールをつつがなく終えた。
寝る時間以外、サッカー漬けになる日々が始まったのだ。
現役時代のピルロについて原稿を書くとき、僕は“カルチョの賢人”という表現を好んで使った。テレビCMで扮した中世の修道士姿がとても似合っていたからだ。CMの中で右足一閃、ピルロの蹴ったボールは高い鐘楼の釣り鐘を高らかに打ち鳴らした。
イタズラ好きで浮気スキャンダルも。
だが、ピルロは賢人であっても聖人ではない。
澄ました顔をして、ミラン時代から大のイタズラ好きだったし、チーム合宿でのプレステ大会では無敵を誇った。
実はゴシップとも無縁ではなく、35歳のときに発覚した浮気スキャンダルには心底驚かされた。14年来連れ添った妻子と別居後、新パートナーと双子を設けるなど、賢人の精力の強さにも驚愕した。
2年前にサン・シーロで行われた引退試合を取材したとき、キックオフの前に配られたメンバー表を見て、集まった面々の豪華っぷりに目眩がしたことを思い出す(※ドイツW杯優勝メンバーや2000年代ミラン黄金期の面々に始まり、FWカルロス・テベスらユーベ連覇組やインテル副会長ハビエル・サネッティ、果てはMFフランク・ランパードまで!)。
興味深いことに、ピルロは引退試合のベンチに恩師アンチェロッティに加えて、アントニオ・コンテ(現インテル)も招いていた。
「将来指導者の道に進むとしたら彼のおかげ」とわざわざ会見で言及したほど、ピルロはユーベ時代に闘将へ心酔し、影響を受けた。2人は今も公私にわたって親交が深い。