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天才司令塔ピルロが“仮免”でユーベ監督。セリエA10連覇&CL制覇へ模範はジダン。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/09/03 07:00

天才司令塔ピルロが“仮免”でユーベ監督。セリエA10連覇&CL制覇へ模範はジダン。<Number Web> photograph by Getty Images

ユーべの監督になった名司令塔ピルロ。クリスティアーノ・ロナウドら名手を束ね、セリエA10連覇の偉業に挑む。

“ジダン・モデル”を範として。

 アニェッリ会長とフロントが、レアル・マドリーの“ジダン・モデル”を範としているのは明らかだ。

 2016年1月、当時のラファエル・ベニテス監督解任に伴い、トップチーム指導経験のないままBチーム監督からレアルの指揮官に昇格したジダンは、そのままCL3連覇という歴史的偉業を達成。昨季は3季ぶりにラ・リーガの優勝タイトルも奪還し、“下積みがほぼなくても、名選手は名監督たりえる”という新たな指導者像をもたらした。

 ユーベOBでもあるジダンの成功は、アニェッリ会長を大いに刺激している。前任者サッリにはプロ選手経験がなく、彼は結局ロッカールームの信頼を得られず終いで、最後まで指揮官に懐疑の目を抱き続けた選手たちは、結束した強さを発揮することがなかった。

 もちろん、ユーベ経営陣はサッリ招聘時に外様監督とプライド高い選手たちの間にある程度の行き違いが生じるとは予想していただろうが、両者を隔てる壁は予想以上に高かった。サッリを続投させても伸び代はないと判断されたのだ。

 だが、あらゆるタイトルを勝ち取ってきた天才司令塔ピルロなら、どんな一流プレーヤーでも耳を傾けるにちがいない。たとえ、それがクリスティアーノ・ロナウドであってもだ。

重鎮との意思疎通と中盤の再生。

 超一流は超一流を知る。世界最高の名手だったジダンの采配の下、ロナウドは惑星最高の男として世を謳歌した。イタリア3年目のロナウドにとっては、同じ目線で会話ができる人物が監督となったことで、精神的により落ち着いてプレーできるのではないか。

 昨季セリエA通算出場記録を塗り替えた鉄人ジャンルイジ・ブッフォンや主将ジョルジョ・キエッリーニといった重鎮たちと新監督は、数年前まで艱難辛苦をともに乗り越えた元チームメイトだ。ロッカールームの風通しが一変することは間違いない。

 新指揮官には中盤の再生も託される。

 2年前に移籍金1億ユーロでロナウドを獲り、昨夏にはDFマタイス・デリフト獲得に大枚7500万ユーロをはたいたクラブは、今夏市場の目玉としてバルセロナから24歳のブラジル代表MFアルトゥールを7200万ユーロで獲得した。

 MFミラレム・ピアニッチ(30歳)とMFブレイズ・マテュイディ(33歳)を放出する一方、4季目を迎えるMFロドリゴ・ベンタンクール(23歳)にかかる期待はより膨らむ。冬の市場で獲得していた20歳の攻撃的MFデヤン・クルセフスキとシャルケからレンタルしたMFウェストン・マッケニーも加わり、中盤の若返りと底上げは進む。

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