「狙い通り」の徳島戦でのゴール。

　考え方の進化を今季初ゴールという結果で示せたことは、大きな自信につながった。そこから前述した山口戦で今季2得点目を挙げると、続く第8節の徳島ヴォルティス戦で今季初スタメンを勝ち取り、この日も得点を奪っている。

　開始早々の7分、左サイドバックの福森健太のクロスをニアに飛び込み、ヘディングでゴール右隅に流し込んだ。このゴールが現在の全8得点の中で「一番の狙い通り」だとディサロは話す。

　このプレーを巻き戻して考えてみる。最終ラインからのビルドアップから左サイドの福森にボールが展開されるまで、ディサロは「僕がゴール前に飛び込むと思わせないように」相手DFラインの前でまた浮遊していた。

　福森にボールが渡り、対峙するDFと1対1になったことを確認すると、「健太くんは右利きなので、縦に仕掛けるだけでなく、カットインからクロスやスルーパスも選択肢にあると思った。どちらを選ぶかを見ながら、ニアにもファーにも入れるよう、スピードアップせずにジワジワとゴール前に入っていくイメージで動き出しました」と徐々にゲージを引き上げていった。

ライナークロスに合わせたヘディングで。

　福森はそこでカットインを選択。次の瞬間、ディサロは中央エリアをケアしていた徳島DF石井秀典の前にスペースがあるのを確認し、一気に加速した。ここしかない――この時のゲージは“100”だ。ディサロの読み通り、福森の右足からライナークロスが送り込まれた時には、すでに石井の前に躍り出ていた。

「石井選手は完全に僕の存在に気付いていなかったし、健太くんから理想通りのゴールに向かうスピードボールが来た。この時、肩の力を抜いて頭に当てることだけというのを心がけました」

　シュートの瞬間のゲージは“70”。クロスの勢いを殺すことなく、頭でコースを変えるようにファーに流し込んだ先制点。「これも昨年までだったら集中力が100のままで力んで強く頭を振ったり、真芯に当ててしまってゴールの枠を外していたり、枠内に飛んだとしても甘いコースにボールがいっていたかもしれません。あくまでもコースを変える程度の感覚でリラックスして決めることができた」。2試合連続、今季3ゴール目となった。

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