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長谷部誠がいま感じる幸福と無力。
「心からサッカーを楽しめている」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2020/08/25 11:40
ドイツ・ブンデスリーガで14年目のシーズンを迎える長谷部誠。サッカーができる幸せを感じながら、静かな闘志を燃やす。
そんなに長く続けることはできない。
フランクフルトとの契約は、現時点で'21年6月末までとなっている。ブンデスリーガは世界でも屈指の競争力を求められるリーグであり、年齢によってシビアな判断を下されることは十分に理解している。だからこそ、長谷部は日々を噛み締めるように過ごし、サッカーに情熱のすべてを注いでいる。
「あと何年このレベルでサッカーができるかは正直分からないですし、この先そんなに長く続けることはできないだろうな、と思う。そういうことを考えることで、『いまの自分はホントに幸せなんだ』と、より強く感じられるようになりました」
ドイツに日本人選手の波を呼ぶ。
新シーズンのブンデスリーガでは、1、2部を合わせて8人の日本人選手がプレーする。取材時は遠藤渓太のウニオン・ベルリン入り、室屋成のハノーファー移籍が発表前だったが、いずれにしても長谷部が胸に宿す使命は変わらない。
「一時期は(香川)真司、内田(篤人)、岡崎(慎司)、武藤(嘉紀)らが結果を出して、ブンデスリーガにおける日本人選手の評価が高まったというのはあります。ここ数年はあまりこう、日本人選手が来られない時期が続いた。それはヨーロッパのサッカーに、選手の流れのトレンドがあることも理由だと思います。僕なんかは半分ドイツ人だとみんなに思われているけれど、自分なりにブンデスリーガで日本人の評価をできるだけ上げていって、他の選手たちが来られるようにしたいという気持ちがずっとあります。いまは同じフランクフルトの(鎌田)大地が結果を出して、(遠藤)航が2部から1部に昇格してきた。サコ(大迫勇也)もいますし、僕も含めてみんなが結果を出していけば、また日本人選手が増える波が起こるのでは」