球体とリズムBACK NUMBER
ネイマール&ムバッペも封鎖成功。
CL覇者バイエルン、極上の組織美。
posted2020/08/24 20:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
UEFAチャンピオンズリーグ決勝
パリ・サンジェルマン 0-1 バイエルン・ミュンヘン
無双の快進撃を続けてきたバイエルン・ミュンヘンにも、弱点はある。それは高い最終ラインの裏にある広大なスペースだ。キリアン・ムバッペやネイマールら、パリ・サンジェルマン(PSG)のスピーディなアタッカーがそこを突けば、盤石のドイツ王者も……。
チャンピオンズリーグ決勝前の最大の論点はそこにあった。
「我々は、相手にスペースを与えたくないからハイラインを敷いているわけだが、確かにその後方には大きなスペースが生まれる。大事なのは、しっかりとプレスをかけ、それでも裏を取られたら、きちんとカバーをすること。相手は素晴らしい選手を揃えたトップチームだからね」
前日会見でバイエルンのハンジ・フリック監督は記者の質問にそう応え、いったん言葉を区切った後に、「とはいえ」と力強く続けた。自信に満ちた表情で(おそらく)画面越しの質問者を、じっと見つめながら。
「我々はこの10カ月間、自分たちのやり方で相手を困らせようとしてきた。ハイラインもそのうちのひとつで、結果も上々だ。ここで何かを変えようとは思わない」
ムバッペ「やり方を貫いてくる」。
対するPSGのエース、ムバッペは敵将の言葉を知ってか知らずか、「バイエルンは偉大なチーム。(明日も)彼らのやり方を貫いてくるはずだ」と同じく前日に話している。
2年前に19歳でW杯を制したフランス代表ストライカーは、終始リラックスした表情で受け答えし、「僕らはそんなチームと対戦するのが大好きなんだ」と、クラブ史上初の欧州頂上決戦を楽しみにしているようだった。