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FA杯制覇もアーセナルがゴタゴタ。
強化部長解任に長引くエジル問題。
posted2020/08/25 19:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
素敵なフィナーレだった──。
プレミアリーグでは不本意すぎる8位に終わったものの、FAカップでは史上最多となる14度目の戴冠。ブカヨ・サカ、ガブリエウ・マルチネッリ、キーラン・ティアニーといった若者が台頭し、移籍の噂が絶えなかったピエール・エメリク・オーバメヤンも残留が濃厚になった。
彼ら選手とミケル・アルテタ監督は太い絆で結ばれ、アーセナルは2020-21シーズンを意気揚々と迎えるはずだった。しかし……。
◆55人の従業員を解雇!?
◆ラウル・サンジェイ辞任
◆メスト・エジルの問題発言
2019-20シーズン終了後、耳を疑うニュースが相次いだ。FAカップ優勝の感激は消え、不安ばかりが募ってくる。
いったい、アーセナルになにが起きているのだろうか。
コロナ禍とはいえ従業員を軽視?
新型コロナウイルスの影響で、アーセナルも大幅な収入減を余儀なくされた。関係者の努力によってプレミアリーグも再開→シーズン終了に至ったとはいえ、無観客のために入場料収入が断たれた。
その結果、リクルート、スカウティング部門で貢献してきた者も含め、55人もの従業員が解雇される公算が非常に大きい。
いま、世界中が新型コロナウイルスの恐怖に直面している。エコノミストの分析によると、世の中の経済が落ち着くのは3~4年後だそうだ。したがって、フットボール業界も規模を縮小しなくてはならない。コロナ以前の経営方針のままではクラブの崩壊に直結する。
しかし、アーセナルを所有する『クロエンケ・スポーツ&エンターテイメント』(以下KSE)は、従業員を助けるそぶりも見せなかった。オーナーの投資に頼らないところがアーセナルの魅力とはいえ、新型コロナウイルスによる経済的なダメージを従業員が負うという構図は、大衆のヒンシュクを買うだけだ。
『KSE』のスタン・クロエンケ社長は、総資産100億ドル(約1兆円)ともいわれている。いまこそアーセナルを援助すべきだ。