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全英女子は世界ランク304位が優勝!
上田、畑岡、渋野らの苦闘の痕跡。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byR&A via Getty Images
posted2020/08/24 12:10
キャディを務めたボーイフレンドと共に優勝トロフィーを持つソフィア・ポポフ。
「『アジア人でもパワー関係なく戦える』って感じた」
全英女子3度目の挑戦で畑岡は初めて予選通過し、腰が良くなってきた野村は約3年ぶりにメジャー大会を4日間を戦った。
上田は、10度目の出場で自己最高位となる6位入賞を果たした。
「全米オープンはハイボールでパワー系の選手が球を止めて、スコアを作るというイメージです。実際に自分がプレーしてもそう感じました。全英女子とは、色んな技術を使えば『アジア人でもパワー関係なく戦える』って感じた大会です」
海外メジャーを経験するのではなく、勝負出来る自信があるから挑んでいる。
リンクスでは、ゴルファーとしての技量が試される。
優勝者は米女子2部ツアーの選手!?
世界中から集まった144選手の頂点に立ったのは、27歳で世界ランク304位のソフィア・ポポフだった。アメリカで戦っている選手ではあるが、レギュラーツアーではなく、なんとシメトラツアー(米女子2部ツアー)でプレーしていたドイツ人である。
ポポフはアマチュア時代に数々の大会で活躍したが、プロでは結果を残すことができずにいた。ポポフを筆者が初めて見かけたのは、'12年の世界アマチュアゴルフチーム選手権だった。優勝候補の一角のドイツチームのエースとして出場するも、思ったようなプレーができず、試合後に仲間に慰められながら涙を流していたのが印象的だった。
結局その後は、米ツアーとシメトラツアーを行き来するようになり、昨年は最終予選会で1打差で米ツアーのシード権を逃した。
「もう辞めようと思った。辞めなくてよかったですよ!」
体調面でも、キツい思いをした。'15年の米ツアー1年目にライム病にかかり、体重11kgを失った。当時は色んな症状が出ても、なかなか原因が分からず、3年間で20人以上の医者を巡って、やっと判明という不遇もあった。
新型コロナウイルスの影響で、多くのアジア・ヨーロッパ勢が欠場したため、8月上旬の「マラソン・クラシック」に出場の機会が巡ってきた。急だったため、他の選手と1台の手引きカートをシェアして利用し、そこで結果を出したことで、全英女子の切符を掴み取った。