酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
菅野智之とパのエース、ダルは?
MLBが気遣う“投手酷使指数”比較。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by(L)Kiichi Matsumoto/(R)Getty Images
posted2020/08/24 18:00
NPBとMLBでの今季登板数、野球文化の違いはある。ただスタミナ抜群の菅野智之(左)とダルビッシュの「PAP」が大きく違うことは興味深い。
好調ダルのPAPはどれくらい?
MLBでは23日にダルビッシュ有がナ・リーグハーラートップタイの5勝目を挙げたが、5試合での投球数は557球。PAPはわずか91だ。
日本とアメリカで今季の日程が大きく違うため、球数の単純比較はできない面もある。とはいえダルビッシュは涌井と同学年でベテランの域に入ったこともあり、チームは投球過多に配慮して使っているのだろう。
NPBとMLBの先発投手起用の違いをあらためて記すと、
NPB=登板間隔は長いが、1試合当たりの投球数は100球を普通に超える
MLB=登板間隔は短いが、100球前後で降板させる
という傾向だ。つまりMLBはPAPの数字がかさむことを意識しているのだ。
その結果としてNPBだとエース級は、シーズンに3000球前後を投げてPAPが15万以上になるが、MLBでは3500球以上投げてもPAPが5万を超す投手はほぼいない。100球前後で降板させることが、先発投手を長持ちさせる秘訣だと考えられているからだ。
中5日は野球を面白くするだけに。
菅野は8月18日の阪神戦で中5日で完封した際に「中5日くらいでヒーヒー言っていたら、先発ピッチャーは務まらないので大丈夫です」と報道陣に語っている。
筆者も、今のNPBのローテーションは間隔が空きすぎだと思う。
ほとんどの先発投手が中6日、週1回しか登板しないのは、変化に乏しくつまらない。その一方で、中5日で投げさせるのなら球数を100球前後にとどめるなど、リミッターをかけることも必要だろう。
今季の日程は、6勤1休が延々と続く。オールスターブレークも交流戦前後の休みもない。各球団の投手は過酷なペナントレースを、つぶれることなく全うしてほしいと切に願う。