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菅野智之とパのエース、ダルは?
MLBが気遣う“投手酷使指数”比較。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph by(L)Kiichi Matsumoto/(R)Getty Images

posted2020/08/24 18:00

菅野智之とパのエース、ダルは?MLBが気遣う“投手酷使指数”比較。<Number Web> photograph by (L)Kiichi Matsumoto/(R)Getty Images

NPBとMLBでの今季登板数、野球文化の違いはある。ただスタミナ抜群の菅野智之(左)とダルビッシュの「PAP」が大きく違うことは興味深い。

両リーグの完投数を見てみると。

<セ・パ両リーグの完投数ランキング。()は完封>

〇セ・リーグ
1大野雄大(中)4(1)
2菅野智之(巨)3(3)
3大瀬良大地(広)2
4井納翔一(De)1
4森下暢仁(広)1(1)
4西勇輝    (神)1
4小川泰弘(ヤ)1(1)
4青柳晃洋(神)1
4梅津晃大(中)1
4遠藤淳志(広)1
4秋山拓巳(神)1

〇パ・リーグ
1石川柊太(ソ)1(1)
1涌井秀章(楽)1(1)
1山本由伸(オ)1
1種市篤暉(ロ)1(1)
1有原航平(日)1

 セ・リーグの完投のうち、中日の梅津は10回を投げている。また中日の大野、巨人の菅野、広島の大瀬良と各チームのエース級が複数回完投を記録している。

 これに対し、パ・リーグは合わせて5回だけ。パの場合、投手に余力があると指揮官が判断した場合に限り最後まで投げさせている印象だ。

「エースは完投」という価値観。

 これまでも言われてきたことだが、セ・リーグは「エースは9回完投するもの」という価値観が現在も幅を利かせているように思える。

 一方でエース以外の先発投手には、そこまでの期待はかけない。QS(6回投げて自責点3、投手の最低限の責任)でもいい。それだけエースは特別だ、ということなのだろう。

 しかし、エースといえども人間だ。投球数が嵩めば肩、ひじへの負担は高まる。

 以前このコラムでも紹介したが、PAP(Pitcher Abuse Point=投手酷使指数)という指標がある。PAPとは1試合で投げた球数から100を引いてそれを3乗した数値である。

 これを毎試合加算していき、合計数値がシーズン通算で10万を超えれば故障の可能性が増し、20万を超えればいつ故障してもおかしくないとされる。なお100球以下の試合はカウントされない、という条件もある。

【次ページ】 セのエース格の今季「PAP」は?

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