ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
新人王戦はボクシング界の希望だ。
4回戦選手たちを救った協会の英断。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byKyodo News
posted2020/08/23 20:00
中日本地区の新人王戦予選の様子。無観客ではあっても、選手たちは試合の機会を心から欲していた。
プロテストもただいまストップ中。
さらにもう1つの問題を古澤代表は指摘する。
「この時期に例年、オール4回戦興行を開催していますが、普段ならデビュー戦の選手がけっこう多い。ところがいまプロテストが止まっていて、10、11月の興行にデビュー戦の選手は出ない。この状況でオール4回戦興行に60人の応募ですからかなり多いと言えます。4回戦選手の試合が少ない上に、テストが開催できないとなれば、来年以降が心配です」
日本ボクシングコミッションは3月、興行の中断と同時にプロテストをストップした(B級テストだけ一部実施)。たとえテストであってもリングに上がるのだから、新型コロナウイルスの検査をはじめ、さまざまな感染防止対策が必要になる。
現在、プロテストを待っている選手は90人程度いるものの、ようやく試合再開にこぎつけた状況では、テストまで手が回らないのが現状だ。
新人王戦の開催は大きな一歩なのだ。
日本のプロボクシングは裾野を広く保ち、チャンピオンを頂点としたピラミッドをつくって運営されてきた。チャンピオンクラスが辞めたらニュースになるが、4回戦選手が辞めてもニュースにはならない。
しかし、いうまでもなく、あすのチャンピオンは4回戦選手から生まれる。新人王戦が開催されたことにより、引退する4回戦選手が減ったとするなら、それはとても大きなニュースと言えるのだ。