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日本は“ボクシング大国”なのか?
増える王者の陰で、競技人口が危機。
posted2017/04/23 11:30
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
AFLO
ロンドン五輪金メダリスト、村田諒太(帝拳)の世界挑戦が決まり、5月20、21日は村田を含めて計6試合の世界タイトルマッチが一気に開催される。大みそかの複数世界戦も定着した感があり、我が国のボクシング界はにわかに活気づいてきたようにも見えるが、はたしてそうなのだろうか?
今回は“数字”で見るプロボクシングの現状をお伝えしよう。
世界的なボクシング記録サイト「ボックスレク」によると、2017年4月20日時点で、アクティブに活動しているプロボクサーの数は世界で2万3460人。ボクシング大国のメキシコが3343人、マーケットの一番大きいアメリカが3266人、いま最もボクシング景気がいいと言われるイギリスが1000人で、日本は1436人となっている。同サイトによれば、ほかに1000人を超える国はアルゼンチンだけだ。
世界メジャー4団体、17階級の男子世界チャンピオンの数を比較してみると、アメリカが14人、イギリスが10人、メキシコと日本が各9人と続く(統一王者は1人とカウント。WBAの暫定王者、WBCの名誉王者を除く)。ボクサーの数、チャンピオンの数からいえば、日本は堂々たる“ボクシング大国”と断言できよう。
プロテスト受験者は、15年間で半分以下に。
一方で、以下の数字を知ると、高まりかけた気持ちは急速にしぼんでしまう。日本ボクシングコミッション(JBC)によると、ボクサー・ライセンス保持者、つまりプロボクサーの数は'04年の3630人をピークに年々減り続け、'16年はついに2306人となった。このうち定期的に試合をしている選手は1486人('15年)で、だいたいボックスレクの数字と一致する。
さらに、こちらの数字のほうがより深刻なのだが、プロテスト受験者数は'03年の1602人をピークに、'16年は620人にまで減った。JBCによると'17年の受験者は「さらに減っている」というから、ボクサー人口の減少は今後も続くと考えられる。