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「骨が飛び出てて…」敗者・西田凌佑が明かした“2つの誤算”…「バキッ」「めちゃくちゃ痛かった」中谷潤人のバッティング「右目、8割見えなかった」
posted2025/06/15 11:03

棄権直前、6ラウンド終了後。西田凌佑の右目はほとんどふさがっていた
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
何度も試合の映像を見返しながら考える。西田凌佑の勝ち筋は、果たしてどこにあったのだろうか。
あの井上尚弥と同等の領域へと足を踏み入れようとする中谷潤人との対戦を熱望し、下馬評では圧倒的に不利とされながら好勝負を繰り広げた。会場の有明コロシアムには「西田コール」が響きわたり、試合前の時点で2000人台だったXのフォロワー数は8000人を超えた。
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だが、勝てなかった。少なくとも当事者である西田にとっては、敗北という結果がすべてだった。
6月8日に行われたWBC・IBF世界バンタム級王座統一戦は、IBF王者・西田の棄権によってWBC王者・中谷の6回終了TKO勝ちという結末を迎えた。棄権の理由は右肩の脱臼。そしてバッティングによる右目の腫れも判断材料のひとつになった。
「めちゃくちゃ痛かったんで…」
3ラウンド、残り41秒。低い姿勢から浮き上がるように左アッパーを放った中谷の頭部が、西田の右目を直撃した。パンチのそれとは違う「バキッ」という衝撃音とともに、ガードを固めた西田の動きが一瞬止まる。
「当たったのは感じました。めちゃくちゃ痛かったんで。3(ラウンド)ですね、思いっきり」
6月9日。一夜明け会見後の囲み取材で、西田はバッティングについてそう語った。右目の腫れを隠すようにサングラスをかけ、右腕を三角巾で吊るしながら。
「それもやっぱ、運やなと思うんですよ。逆に偶然のバッティングで中谷選手の目が腫れていたら自分のペースになったかもしれないんで。自分の運のなさというか、それも勝負なんで。全然、それがあったからとかは思わないですね」