熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
カズ53歳初出場、ブラジル時代の
盟友も感激。「奇跡のような男だ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/10 11:40
今季公式戦初出場ではつらつとしたプレーを見せたカズ。遠くブラジルの地も喜びの声で沸いている。
10代と今のカズの共通点って?
その一方で、10代の頃と現在のカズには共通点があると言う。
「キンゼの下部組織時代から、いつもチームで一番練習していた。ちょっと“マゾ”の気があるんじゃないかと思うくらい(笑)、徹底的に自分を追い込むんだ。とことん練習をしないと気が済まないらしかった。
その姿勢にはチーム関係者の誰もが感心していた。日本人とかブラジル人とかは関係なく、誰もが敬意を払い、認めていた。あれから40年近くたった今も、その姿勢は全く変わらない。これは本当にすごいこと。カズさんにしかできない」
そして、かつての“戦友”としてエールを送ってくれた。
「もうこうなったら、ピッチの上で死ぬつもりで、いつまでもプレーしてほしい」
サンパウロ在住のカメラマンの西山幸之さんは、ブラジル修行中のカズのほぼ全試合を取材した。当時のカズを最も良く知る人物の1人だ。
「若い頃から体調管理にとても気を使っていたし、練習も人一倍していた。だからこそ、この年までプレーできるのだろう。当時は、カズが日本で成功して日本代表に選ばれるような選手になるとは思っていなかった。彼の努力には、本当に頭が下がるよ」
兄のヤスからも熱いメッセージが。
カズの2歳年上の兄で、自身も高校卒業後、サントスの下部組織で練習を積んだ経験を持つ元日本代表DF三浦泰年さんも、コメントを寄せてくれた。
「この日を迎えるまでのカズの努力に、敬意を払いたい。しっかり準備をしてきたからこそ、53歳になっても良い顔でプレーでき、決定的なシーンにも出てこれた。『おめでとう!!』と言いたいが、カズは『やっとスタートしたよ』と言うだろう。
カズの交代後、終了間際の得点でチームが勝った。カズが先発した試合で、なかなかリーグで勝利できていなかった横浜FCが勝つ。勝利した試合に、カズがいる。兄弟としても、サッカー人としても、本当に嬉しい!!」
日本で、そして地球の反対側のブラジルで、キング・カズを称える声が止まらない。