熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
カズ53歳初出場、ブラジル時代の
盟友も感激。「奇跡のような男だ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/10 11:40
今季公式戦初出場ではつらつとしたプレーを見せたカズ。遠くブラジルの地も喜びの声で沸いている。
かつてのチームメートも大喜び。
1988年から1991年までキンゼに在籍し、左SBとして左ウイングのカズと絶妙のコンビを組んだトニーニョ・パラナ氏も大喜びだった。
「カズは、チーム練習が終わってもいつも居残り練習をしていた。私もよく付き合わされたものだ(笑)。
でも50歳を過ぎてもまだプレーするなんて、当時は想像もつかなかった。私は33歳で引退したんだけど、それより20歳上の年齢だからね。全くもって、信じられないよ。奇跡のような男だ」
日本人の後輩、橋本幸一が語る秘話。
橋本幸一さんはカズと同じく、15歳でブラジルへ渡った。キンゼの下部組織でカズと出会い、苦楽を共にした。その後、名門コリンチャンスなどでプレーした後、今はブラジル人選手を日本などのクラブに紹介する代理人として働く。
「いかにもカズさんらしいと思ったのは、試合開始直後の猛烈なチェイシング。ファウルになったけど、あれはチーム全体を鼓舞しようと意図的にやったプレーだと思う。
カズさんがあれほど強い気持ちを見せたことが、結果的にチームの試合終了直前の決勝点につながったんじゃないかな」
橋本さんは、カズのブラジル時代と現在のプレースタイルの変化にも言及する。
「カズさんがブラジルでプレーしていた当時、前の選手には守備なんて求められなかった。でもその後、フットボールが大きく変わり、近年はFWも守備面での役割を果たさなければならない。カズさんは、年齢を重ねても若い頃と全く同様のトレーニングを積むことで、このような変化にもしっかり対応している。本当に大したものだと思う」