炎の一筆入魂BACK NUMBER
最下位低迷のカープでも淡々と。
「控え捕手」を全うする磯村嘉孝。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2020/08/04 17:00
2011年にドラフト5位で入団した27歳。今季は12試合出場で打率.286(8月3日時点)。
「鈍感だからですかね」
「鈍感だからですかね。あまり気にしないです。そういうことを難しいと思ったこともない。ただ結果を残すしかない。不安もありますけど、やれることは限られている。それをやるだけ」
チームは開幕から苦しい戦いが続く。3連覇したチームを知る選手からすると戸惑いすら感じるほどの苦境も、「僕は逆にプラスに捉えています。3連覇した年は勝って当たり前だった中で試合に出ていたので、負ければ目立っていた。でも今は勝てば目立てる」と前を向く。
高校時代に日本一を経験したエリート捕手は、プロではどんな環境にも対応する強さを身につけた。立場や境遇は気にしない。ただ、置かれた場所で咲こうとする。そこだけに集中することができる。
「高校時代に誇りはあっても、そこに対するプライドや自負はそこまでない。だってプロには甲子園の出場に関係なく、すごい選手がいっぱいいる。今、この世界で自信をつけるためには、今の世界で結果を残すしかありませんから」
厳しい環境に耐え抜いたつぼみはきっと、きれいな花を咲かせるに違いない。