炎の一筆入魂BACK NUMBER
古田、谷繁ら名捕手と並ぶために
カープ會澤翼が乗り越えるべき壁。
posted2020/07/08 11:15
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Hideki Sugiyama
捕手はグラウンドでただ1人、チームメートの顔を見ながらプレーする。扇の要として全体を見渡し、投手の表情やマウンドでの立ち居振る舞い、野手のポジショニングを確認。グラウンドの指揮官とも言われている。
野球を始めた小学3年生のときに「プロテクターが格好いい」という理由でキャッチャーを始めた。そこから捕手一筋の広島・會澤翼にとっても、今季見る景色はこれまでとは違う。
コロナ禍で開幕したプロ野球シーズン、9日までスタンドには観客はいない。投手を鼓舞し、野手陣に冷静に指示を出す声が球場に響き渡る。
先発マスクはリーグトップの11試合。
景色の変化は異例の環境だけが理由ではない。
ここまで3試合未消化ながら、スタメンマスク11試合はセ・リーグでトップ(他5球団は阪神・梅野隆太郎10、DeNA・伊藤光8、ヤクルト・嶋基宏8、中日・木下拓哉8、巨人・大城卓三7)。投手同様、捕手も分業制を敷く球団が増えてきた中、広島は會澤のさらなる成長を信じている。
今年から一軍担当となった倉義和バッテリーコーチが開幕前から「1週間すべてとは言わないけれど、ある程度はアツ(會澤)に出てもらうと思っている。正捕手だし、やってもらわないといけない選手だから」と出場増を明言していた。
開幕から先発ローテーション6のうち、遠藤淳志を除く5投手と先発バッテリーを組む。開幕カード全3試合にスタメンフル出場はプロ入り初。開幕5試合目までフル出場を続け、その後もスタメン出場から途中交代は2度しかない。