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チェルシーに感じる未来への希望。
ランパード・チルドレン今季通信簿。
posted2020/07/30 11:30
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Getty Images
イングランドと欧州の頂を知り、常に優勝を求めてきたチェルシーファンの目に、今季の結果はどう映るだろうか?
プレミアリーグで4位、CLではラウンド16でバイエルン相手に敗戦濃厚という成績にもかかわらず、存外これに納得しているかもしれない。
選手として13シーズンで648試合に出場、クラブ歴代トップとなる通算211ゴールを記録した正真正銘のレジェンド、フランク・ランパードを監督として迎え入れるには、いささかクラブの置かれている状況がまずかったからだ。
1つは2019年2月にFIFAから宣告された2度の移籍市場による補強禁止処分。1回目がランパードが指揮を執ることになった今季開幕前にあたり、詰まるところ彼は19-20シーズンにおいて1度も戦力補強が許されない中での船出となった。結局、処分の軽減によって今冬の移籍市場から補強が可能にはなったものの、チーム作りに大きな支障をきたしたのは事実だ。
もう1つはエデン・アザールのレアル・マドリー移籍だ。2012年に加入して以来長く頼りにしてきたエースの退団は大きく、前述した補強禁止処分も相まってダメージもひときわ大きかった。
補強ができない中で有望株が得た好機。
そんな最悪といっていい状況でのスタートを余儀なくされたということを考慮すると、ランパードが残した今季の成績は称賛に値する。
そしてこの結果は“ランパード・チルドレン”なしには得られなかっただろう。
開幕前の補強ができなかったランパードはアカデミー出身の選手を積極起用し、若手に多くのチャンスを与えた。第12節のクリスタルパレス戦では平均年齢24歳88日という、プレミアリーグにおけるクラブ史上最も若いスタメンで挑んだほどだ。
とりわけ前半戦において、チェルシーはランパードが抜擢したアカデミー出身の選手を中心に動いていたのだ。今季のチェルシーの原動力となり、クラブの今後を支えていくであろうランパード・チルドレンの活躍を、FA杯決勝を前に振り返りたい。