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チェルシーに感じる未来への希望。
ランパード・チルドレン今季通信簿。
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/07/30 11:30
ハドソン・オドイのゴールを祝福するエイブラハム(9番)やメイソン・マウント(19番)。チェルシーの未来は彼らにかかっている。
CBトモリは来季“武者修行”か。
4人目はマウントと同じく、昨季レンタル先のダービーでランパードの薫陶を受けたフィカヨ・トモリだ。ただ彼に関しては、前述の3人と置かれている状況が少々異なる。
第4節シェフィールド・U戦でトップチーム初先発を果たすと、そこから11試合連続で先発出場。持ち前のスピードを生かしたカバーリングと、強度の高い対人守備を武器にブルーズの最終ラインを担った。
昨年11月にはユーロ予選コソボ戦でイングランド代表としてもデビューし順風満帆にみえたが、後半戦からランパードが次第にベテラン重視へと舵を切る。するとトモリの出番は激減し、第28節のボーンマス戦を最後に試合から遠ざかった。
2月にはランパードが「トモリは確実にローンで出ていくことになる」と発言している。最近では守備の補強を画策するチェルシーが、獲得候補とするデクラン・ライスを所有するウェストハムに移籍金の引き下げ、もしくは人的保障としてトモリをローンさせるのではと報じるイギリスメディアもある。
とはいえセンターバックは経験がものを言うポジションだ。彼がまだ22歳ということを考えると、この若さでチェルシーのセンターバックを半シーズンでも務め上げた、そのポテンシャルは計り知れない。
どこで武者修行をするにしても、来季の活躍、その先にあるチェルシーでの未来が楽しみな存在である。
サッリ時代から光っていたオドイは?
5人目はカラム・ハドソン・オドイ。もっとも彼の場合は“サッリ・チルドレン”と呼ぶ方がしっくりくるかもしれない。前任のマウリツィオ・サッリによってトップチームでの出場機会が増え、昨季のELでは4ゴールを挙げる大ブレイクを見せたからだ。
ただ今季はレギュラーとしての活躍を期待されたものの、理想のシーズンを送ることはできなかったように見えた。
昨季途中にアキレス腱を断裂したことで、今季の開幕には間に合わず。さらに今年2月のマンチェスター・U戦を前にハムストリングを負傷し、その怪我から復帰間近のトレーニングでさらに悪化。結局公式戦復帰は7月4日のワトフォード戦にまで伸びてしまった。
そのためリーグ戦では22試合出場(うち先発7試合)で1ゴールと、物足りない結果となってしまった。
自身の新型コロナウイルス感染や、婦女暴行容疑での逮捕(その後潔白であるとして釈放)など、プレー面以外でのニュースが先行したハドソン・オドイだが、その実力が折り紙付きであることは証明済み。アカデミー時代には「チェルシーユース最高傑作の1人」という評判だっただけに、このまま“ガラスの天才”になってしまわないかだけは心配だ。