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チェルシーに感じる未来への希望。
ランパード・チルドレン今季通信簿。
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/07/30 11:30
ハドソン・オドイのゴールを祝福するエイブラハム(9番)やメイソン・マウント(19番)。チェルシーの未来は彼らにかかっている。
空中戦勝率44%という非凡な数字。
また得点力もさることながら、190cmの長身を生かしたポストプレーもチームにとっては大きな助けになったはずだ。
今季リーグ戦34試合に出場したエイブラハムは合計203回の空中戦で、うち89回を制している。屈強なディフェンダーが名を連ねるプレミアリーグにおいて空中戦勝率44%という数字は、いかに彼がポストプレーで役立っているのかを示すに十分である。
ゴールとポストプレー、シーズンを通して2つの大きな役割を全うした22歳は、来季以降もエースとして君臨できるか――期待値はさらに高まるだろう。
ジェームズ台頭と代表右SBの充実。
3人目は、今や不動の右サイドバックとなったリース・ジェームズ。ウィガン(2部)への武者修行を経て今季からトップチーム入りを果たした20歳だ。シーズン前の負傷で開幕こそ出遅れたものの、第9節のニューカッスル戦でデビューを果たすと、第12節のクリスタルパレス戦からスタメンに定着した。
当たり負けしないフィジカルの強さと、スピードを生かしたドリブルでチームに推進力をもたらし、かつクロスの精度も高い。若干攻撃に偏ってはいるものの、現代のサイドバックに必要とされる要素を兼ね備えている選手だ。イングランド代表のポジションをアレクサンダー・アーノルド、ワン・ビサカと争わなければならないのが不憫でならないほどである。
ジェームズの台頭により、左サイドバックの人選に迷っていたランパードは副産物として、セサル・アスピリクエタを据えるという解決策を見つけることができた。またジェームズは3バックシステムでも右ウイングバックで出色のパフォーマンスを見せた。
アカデミー時代には主将としてチームをFAユースカップ5連覇に導いた経験も持つジェームズ。いずれキャプテンマークを巻き、ブルーズの先頭を歩いてスタンフォード・ブリッジのピッチに入場する日が来ても不思議ではない。