来季大ブレイク候補のギルモア。

　最後は今季アカデミーからトップ昇格を果たしたビリー・ギルモア。インサイドハーフ、アンカーを主戦場とする19歳のスコットランド人だ。彼の最大のハイライトはリーグ中断前の2連戦だろう。

　FA杯5回戦のリバプール戦に先発出場したギルモアは、ボールを持てば正確なパスを前線に送り、166cmの小柄な体からは想像もできないほど献身的な守備を披露。MOMに輝く活躍を見せ、チームも2－0の勝利を収めた。

　さらにその5日後に行われたエバートン戦でプレミア初先発を飾ると、この試合でも攻守にわたって存在感を発揮し、4－0での勝利に大きく貢献。2試合連続のMOMに選出された。

　この2連戦を経て最高の状態にあったギルモアにとって新型コロナウイルス禍による中断は大きな試練となった。中断明けも活躍を期待されたが、第34節のクリスタルパレス戦で膝を負傷する憂き目にあった。

　悔しい形でシーズンを終えることになったが、出場した数少ない試合の中で、大きな可能性を感じさせたことは確かだ。怪我が完治し、シーズンを通しての本領発揮が待ち望まれる来季、最もブレイクが期待される若手といってもいいだろう。

宿敵アーセナルを倒してFA杯を。

　今のチェルシーに否定的なニュースが少ないのは、開幕前に苦しい状況だった中でも最低限のノルマをクリアし、ビッグクラブとしての尊厳を守ったこと。そして明るい未来があることをランパード・チルドレンが示したからだ。

　それだけではない。FA杯で決勝まで進出したチェルシーは、8月1日にウェンブリーで決戦を迎える。相手はアーセナル。”ビッグロンドン・ダービー”で雌雄を決する、最高のシチュエーションだ。

　ライバルを退けてのタイトル獲得ということになれば、これ以上気持ちいいことはないだろうし、期待以上のシーズンを送ることができたといっていい。

　今季残された2つのカップ戦を終えたとき、イングランドと欧州の頂を知り、常に優勝を求めてきたチェルシーファンの目に、今季の結果はどう映るだろうか？