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過酷な米女子ツアー挑戦を再び……。
美しい歌声で覚悟を示した河本結。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2020/07/29 19:00
2020年1月、フロリダ州で米ツアーデビューした時の河本結。フロリダとオーストラリアの計3試合の経験が、ツアー中断中の練習に生きた。
「『挑戦し続ける姿は、自慢の娘だよ』って」
羽田空港へ見送りにきた母親の美由紀さんは、21歳の娘の足が宙に浮くぐらい両手でギュウッと抱きしめていた。
見送りにはいらっしゃらなかったが、父親の由一さんは日頃からLINEを通して娘を応援しているという。
「(アメリカに行くため)SIMフリーのスマホに変えて、色々操作してるうちに、(父からのLINEは)全部消えちゃったんですよね。ははは!」
やっちゃったーという感じで、夜のフロリダに明るい笑い声が響いた。
だが、たとえ消えてしまっても、心に響いた言葉を忘れはしない。
「『挑戦し続ける姿は、自慢の娘だよ』って言ってくれたことがあって。私が簡単な道を歩んでいないことを理解してくれています。(その言葉は)はい、すごく嬉しかったです」
5大メジャー制覇も「必ず成し遂げられる目標」。
新型コロナウイルス感染予防のための2週間の隔離を終えて、7月27日にオハイオ州へ移動した。7月31日に開幕する新規大会「LPGAドライブオン選手権」(オハイオ州/インバネスクラブ)に出場するためだ。8月半ばには、自身初の海外メジャーとなる全英女子オープンも控えている。
河本は5大メジャー制覇を夢見る。
「まだその実力はないと思っていますが、これからアメリカで自分の心もゴルフ面も強く成長していけば、必ず成し遂げられる目標だと思っています」
未曾有の事態に、今季のシード権を来季に持ち越せることが決まっている。
つまり、今季の残りの試合に欠場したり、結果が出なかったとしても、失うものは何もない。
異例の米ツアー1年目、夢を目標に変えるため、自分自身を鼓舞して戦う。