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過酷な米女子ツアー挑戦を再び……。
美しい歌声で覚悟を示した河本結。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2020/07/29 19:00
2020年1月、フロリダ州で米ツアーデビューした時の河本結。フロリダとオーストラリアの計3試合の経験が、ツアー中断中の練習に生きた。
2種類から8種類まで増やしたウェッジ。
予選落ちした時の経験を活かして、新型コロナウイルス感染症の影響でツアーが一時中断している間にドローやフェードといった球筋、アプローチショット、コースマネージメントなど満遍なく練習を重ねた。
クラブに関しても、国内ツアーでは1、2種類しか用意しなかったウェッジを、今回の渡米に際しては8種類と念入りに用意した。
「トゥ側(ヘッドの先)をけっこう削り落として、ライが悪いシチュエーションでも、しっかりトゥで構えやすいようにしてるもの。バンカーが多いところで手前のネック側が気になってくるので、ネック側を落としてもらったものなど。全てのウェッジを使うかどうか分かりませんが、しっかり準備していかないと、持ってる技術も出せないとわかったので」
技術面からクラブまで、できる限りの準備を整えた。
「自分のしたいことから逃げるのは違うかなと」
羽田空港から発った日、新型コロナウイルス感染症の影響で、電光掲示板には、河本が搭乗したフライト以外は全て欠航の表示があった。
今回の渡米に、感染の不安が全くなかったわけではない。アメリカでは感染者数の累計が400万人を超えている。「だからといって、自分のしたいことから逃げるのは違うかなと」。感染症対策として、100枚以上のマスク、除菌用のウェットティッシュなどをバッグに詰め込んだ。
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力がみなぎるのを感じる
たった今から 私は強くなる
だから私は 私のファイト・ソングを歌う
自分以外誰も信じてくれなくてもかまわない
だって私には、まだ頑張れる力が残っているから
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「自分以外誰も信じてくれなくてもかまわない」というフレーズは唯一、河本に当てはまらない部分だろう。一人きりではなく、理解して応援してくれる両親がいるからだ。
「(今は)日本でプレーする方が安全かもしれないし、(国内ツアーにいる方が)注目されるかもしれないですけど、小さい頃から自分のやりたいことに対して、一切口を出さず、背中を押してくれてるので、感謝しかないです」