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延期になった東京五輪まで1年。
伊藤美誠と張本智和は何を思う?
text by
吉本有里(NHK)Yuri Yoshimoto
photograph byAFLO
posted2020/07/23 09:00
目標は同じだが、今を語る言葉は異なる2人。「突き進む一方かなと思う」(伊藤美誠)、「耐える時はしっかり耐えて」(張本智和)。
伊藤「突き進む一方かなと思う」
緊急事態宣言が全国で解除された5月下旬。伊藤の姿は練習拠点の大阪にあった。
感染予防のため、限られた相手としか打ち合うことはできないが、ラケットの角度や足の運びなど細かなところまでこだわり、納得がいくまで繰り返す。
新型コロナウイルスの感染は今も世界で広がり、国際大会再開のめども立っていない。来年のオリンピック開催を不安視する声も上がるなど先は見えない。
それでも伊藤はこれまでと変わらず、ただひたすら強くなることだけに集中していた。
今月、番組(「スポーツ×ヒューマン」7月27日・月曜日BS1にて放送予定)の取材で伊藤に再び、インタビューさせてもらう機会を得た。
「来年のオリンピックに対して不安に思うことはないのか」
私の問いに伊藤はこう答えた。
「不安に思っていたら前に進まないし、(五輪が)ないと思って行動しているのと、あると思って行動しているのではモチベーションも全然違う。自分自身は完全にあると思ってやっているので、突き進む一方かなと思う」
やはり、伊藤はブレない。
1年後に向けて自分の信じた道をまい進する。
張本「耐える時はしっかり耐えて」
実家で練習を続けていた張本は今月から代表合宿に参加している。
次、いつ試合があるかも分からない状況だが、両親からかけられたあることばを大切にして、練習に励んでいた。
「『今もある意味、試合』、『誰が一番耐えられるかの勝負』だと思って練習をした方がいいと言われた。目標を見失わないことが一番大事かなと思うので、耐える時はしっかり耐えて、またチャンスが来た時にしっかり自分のプレーを発揮することができればいい」
耐えた先には必ず光があると信じて――伊藤も張本も再び、進み続ける。