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延期になった東京五輪まで1年。
伊藤美誠と張本智和は何を思う? 

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吉本有里(NHK)

吉本有里(NHK)Yuri Yoshimoto

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posted2020/07/23 09:00

延期になった東京五輪まで1年。伊藤美誠と張本智和は何を思う?<Number Web> photograph by AFLO

目標は同じだが、今を語る言葉は異なる2人。「突き進む一方かなと思う」(伊藤美誠)、「耐える時はしっかり耐えて」(張本智和)。

伊藤「私は自分の道を歩きたい」

 こうして育った伊藤は去年9月、思い切った決断をした。

 東京オリンピックのしれつな代表選考レースのさなか、選考ポイントが獲得できる国際大会の出場を見送り、1カ月間練習に専念。周囲からは疑問の声も聞かれたが、試合が続く中ではできない基本練習に時間を割いた。

 レベルアップを図るという自らの決断に一切の迷いはなかった。

 その理由も実に伊藤らしかった。

「周りに流されるのは元々、好きじゃない。私は自分の道を歩きたい。自分のものは自分で取る」

 その後の国際大会では強豪の中国選手を破るなど4大会連続で決勝進出。ここでも有言実行で、国内のライバルに大差をつけて東京オリンピックの代表に内定した。

 幼いころからどんな状況でも自分の意志を貫き、ことばにした目標を着実に達成してきた伊藤。確かな手応えと自信があるからこそ、1年延期という異例の事態にも動じることはなかった。

張本が初めて吐露した胸の内。

 張本がリモートでのインタビューに応じてくれたのは延期決定からおよそ1カ月後の4月下旬。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、練習拠点の関東から地元、仙台市に戻っていた。

 午前中はタブレットを使って高校の課題を行い、午後は実家の2階にある卓球場で練習。近所をランニングする以外は感染予防で外出していないため、髪も伸びていた。

 張本はこのインタビューで初めて、周囲の期待と現実の間で苦しんでいた胸の内を話してくれた。

「早く東京オリンピックをやって、楽になりたい気持ちもあった」

「東京オリンピックの代表って言われることが、また1年間続くんだな」

「自分で変えることはできないので、受け入れてやるしかない」

 張本の名前が一躍、世界に知られたのは中学2年生だった3年前、2017年6月のことだ。

 世界選手権の男子シングルスでリオデジャネイロオリンピック、銅メダリストの水谷隼を破るなど史上最年少の13歳でベスト8に入った。

 その後、破竹の勢いで様々な最年少記録を更新。おととし、2018年は1月の全日本選手権で史上最年少の14歳で初優勝、6月の国際大会では、オリンピック金メダリストの中国選手を連続で破って優勝、そして12月に行われたワールドツアーの成績上位の選手のみが出場できるグランドファイナルでは、男子シングルスの史上最年少、15歳で優勝を果たした。

【次ページ】 わずか15歳で世界中から追われる立場に……。

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