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延期になった東京五輪まで1年。
伊藤美誠と張本智和は何を思う?

posted2020/07/23 09:00

 
延期になった東京五輪まで1年。伊藤美誠と張本智和は何を思う?<Number Web> photograph by AFLO

目標は同じだが、今を語る言葉は異なる2人。「突き進む一方かなと思う」(伊藤美誠)、「耐える時はしっかり耐えて」(張本智和)。

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吉本有里(NHK)

吉本有里(NHK)Yuri Yoshimoto

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 去年の今ごろ、誰もが当たり前に開催されると思っていた東京オリンピック。

 2020年7月23日――。“2回目”の「あと1年」がやってきた。

 新型コロナウイルスの影響による延期決定で突然現れた「プラス1年」。この異例の事態に対する日本卓球界の男女のエースの受け止めは全く異なるものだった。

 女子のエース、伊藤美誠は、これまでと変わらない明るい笑顔でこう言い切った。

「成長できる1年間をもらった。どれだけ成長できるんだろうって想像ができないぐらい楽しみ」

 一方、男子のエース、張本智和は、試合中に見せる強気な姿勢とはかけ離れた、静かな口調で意外な思いを口にした。

「早く東京オリンピックをやって楽になりたいという気持ちもあった。また、この状況が1年続くのか――」

 ともに伸び盛りの10代が発した対象的なことば。

 その裏には、ことしの夏に向けて全力で駆け抜けた2人の歩みがあった。

伊藤「終わったら、おめでとうの乾杯をしたい」

 東京オリンピックの延期が決まった3月24日から2週間後。私たちのリモート取材に応えてくれた伊藤はどこまでも前向きだった。

「成長できる1年間をもらった」

「どれだけ成長できるか、想像ができないぐらい楽しみです」

「来年オリンピックに出た方が確実に強くなっている」

 そして、何より彼女らしいと感じたのが、乾杯のポーズをしながら満面の笑みを浮かべて話したこのことばだ。

「もし今年だったら(19歳なので)終わっても乾杯ができなかった。来年なら誕生日が来ているので20歳でオリンピックに挑める。終わったら、おめでとうの乾杯をしたいなって思います」

 伊藤は目標とするオリンピックでの金メダルに着実に近づいていた。

 新型コロナウイルスの影響でツアーが中断する前には、3月の国際大会で、リオデジャネイロオリンピックの金メダリスト、中国の丁寧にストレート勝ちするなどし、最新の世界ランキング(4月現在)では2位へ。1991年に現在の制度になってから日本選手で男女を通じて過去最高の順位を更新した。

 そんな時期に発表されたオリンピック延期だったが、伊藤は気落ちすることなく、見事な発想の転換で新たな楽しみまで見つけていたのだ。

【次ページ】 なぜ“練習”ではなく“訓練”なのか?

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