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CL処分撤回でマンCの逆襲が始まる。
大型補強に“後継10番”覚醒の予感。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/07/19 11:50

CL処分撤回でマンCの逆襲が始まる。大型補強に“後継10番”覚醒の予感。<Number Web> photograph by Getty Images

グアルディオラ監督が目をかけるフォデン。留任となればさらにその潜在能力が研ぎ澄まされるはずだ。

夏の狙いはクリバリー、トーレス。

 逆に予想されるのは、グアルディオラ体制継続のシティによる激しい巻き返しだ。今季こそリバプールの独走を許したが、その裏には連覇した昨季、新たな守備の要となったアイメリック・ラポルテが長期欠場を余儀なくされ、他のCB陣も怪我が重なった不運がある。

 リバプールの優勝が決定した第31節までにラポルテが出場したリーグ戦は10試合のみ。その間、本来はボランチのフェルナンジーニョが24試合もCBを務めた。攻撃的なチームが本領を発揮するうえで、後方の信頼感を軽視することはできない。

 もし不運に見舞われたのがリバプールで、最終ライン中央にビルヒル・ファンダイクを欠く状態でシーズンの3分の2を戦うことになっていたら――開幕4試合で合計14得点、3勝1分けだったシティが独走するシナリオも現実的だったように思える。

 7月15日の第36節ボーンマス戦(2-1)終了時点で、3位チェルシーに12ポイント差をつけている「2強」の一角シティは、UEFAを下した法廷での勝利を受け、今夏は総額1億5000万ポンド(203億円強)規模の積極補強説が囁かれるようになった。

 ラポルテに対する依存度が高いCBには、移籍金7000万ポンド(約94.5億円)でナポリのカリドゥ・クリバリー、7月に入ってバイエルン・ミュンヘンに移籍したレロイ・サネの後釜には、4000万ポンド(約54億円)でバレンシアのウイング、フェラン・トーレスの名前が挙がっている。

ペップの新契約とフォデンの台頭。

 フロントには、チーム最大のキーマンと言えるグアルディオラへの新契約提示の用意もあるとみられる。

 当人も「エリートクラブ勢は、我々にも資格があると認めるべきだ」といった発言をしている。レアル・マドリーとのベスト16対決に敵地で先勝し、クラブ史上初のCL優勝を実現したとしても、エリートの地位を確固たるものとするために、シティとの契約更新を望みそうな意気込みが感じられる。

 来季以降もグアルディオラのシティが存在するとなれば、中立的なプレミアのファンにとっても好ましい。イングランドの人々は、フィル・フォデンの成長促進という期待にも胸が膨らむはずだ。

 この国では、いまだに「ガスコイン2世」という表現が聞かれる。要はクリエイター、ゴールゲッター、ファイターの1人3役をこなせるワールドクラスの国産10番タイプは、1990年代が最盛期だったポール・ガスコインが最後と見られているのだ。

【次ページ】 伸び悩む“イングランド国産10番”。

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