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CL処分撤回でマンCの逆襲が始まる。
大型補強に“後継10番”覚醒の予感。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/07/19 11:50

CL処分撤回でマンCの逆襲が始まる。大型補強に“後継10番”覚醒の予感。<Number Web> photograph by Getty Images

グアルディオラ監督が目をかけるフォデン。留任となればさらにその潜在能力が研ぎ澄まされるはずだ。

伸び悩む“イングランド国産10番”。

 例えば、28歳のジャック・ウィルシャー(ウェストハム)は、度重なる怪我でピッチ上の時間が減る状態で年齢を重ねるはめになった。26歳のロス・バークリー(チェルシー)と25歳のウィル・ヒューズ(ワトフォード)などは、伸び悩みが続いて久しい。

 24歳のデル・アリ(トッテナム)も、輝いたと思えば霞む不安定さを払拭できずにいる。フォデンは、21歳のメイソン・マウント(チェルシー)らを含む最新世代の「2世」候補の1人。アカデミーで育成された20歳はリーグ再開の口火を切った6月17日のアーセナル戦(3-0)から、先発4試合を含む出場7試合で計5得点に直接関与し、一人前の姿を見せ始めている。

 リバプールの優勝直後だったとはいえ、第32節での直接対決では、4-2-3-1システムの2列目右サイドで先発して大勝(4-0)に貢献している。

 対峙した左SBのアンドリュー・ロバートソンにアシスト源としての仕事を許さず、自らは1ゴール1アシストをこなしてみせたのだ。45分の得点シーンでは、デブライネとのワンツーでロバートソンを誘き出し、空いたスペースに走り込んでシュートでネットを揺らした。

どれだけ移籍金を積まれても非売品。

 幸い今夏の補強対象として、クラブがシルバに代わる実力者の獲得に躍起になっている様子はない。

 ベルナルド・シウバやイルカイ・ギュンドガンがいることもあるだろうが、魔法使いの後継ぎは「内部で育っている」と言い続けてきた指揮官が、「どれだけ移籍金を積まれても絶対に売らないシティの未来」とまで言うほど惚れた逸材がフォデンなのだ。グアルディオラとフォデンの師弟関係には、サポーターならずとも興味をそそられる。

 シティの処分撤回は、2週間を残すのみの今季プレミアにも興味をもたらした。

 首位リバプールの他はリーグ3~5位の3チームではなく、従来通りトップ4が手にすることに落ち着いたCL出場権争いだ。

 本稿執筆時点では、第34節で3位に浮上したチェルシー、取って代わられたレスター、4位との距離を得失点差に詰めたユナイテッドが追うレース展開だ。

 7月26日の最終節は、チェルシーが数字上は可能性を残すウォルバーハンプトンと戦い、レスターとユナイテッドが直接対決を演じるエキサイティングなフィナーレだ。

 CSAの判決が下った7月13日は「FFPの命日」と言われているが、プレミアのファンにとっては3カ月間の中断など非常事態に見舞われた今季に訪れた、貴重な「吉日」だ。

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