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小笠原満男×代表シェフ西芳照対談。
食育とペペロンチーノ愛、蛙料理!?
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byL:Hirokazu Ikeda R:Takuya Sugiyama
posted2020/07/07 10:00
現役時代から交流があったという小笠原(左)と西シェフ。ユース生たちの食事について語りながらも、思い出話に花を咲かせた。
「ペペロンチーノください!」
小笠原 ドイツ・ワールドカップのときだったか、ホワイトアスパラを出してくれたことがありましたよね。西さんは、いつも現地のものを何かしら出してくれるんですよ。それがすごく楽しみで。
西 あの太いホワイトアスパラね。それにオランデーズソースをかけてね。
小笠原 うまくアレンジしてくれるので、ありがたいですね。あと、ペペロンチーノが好きでした。よくおかわりしていたなあ。まずペペロンチーノを食べて、次にペペロンチーノをおかわり(笑)。
西 (笑)。満男ちゃんは、いつも試合の日におにぎりを3種類のうち2個食べて、うどん1杯を食べて試合に行くんですけど……。
小笠原 よく覚えていますね!
西 いつだったかの試合で、最後に「ペペロンチーノください!」って言ったときがあって。
小笠原 わがままですね! 感謝の気持ちが感じられない!(笑)
西 なんか今日は変わった食べ方をしたから、活躍するんじゃないかっていうときがありましたね(笑)。
小笠原 本能のまま、いきます(笑)。チームに同行するときって、どういうスケジュールなんですか?
西 朝は食事の2時間前から準備です。8時の食事であれば6時に起きて、スタッフも含めて食べ終わるのが10時ごろなので、そのままお昼作りに突入して、12時の食事だと14時くらいまで。そこから少し休んで夕食の準備ですね。
小笠原 西さん、寝ているんですか!?
西 寝ていますよ。あとはね、スタッフミーティングがあるんです。夜の11時ごろから1時間くらい顔出しをして……。
小笠原 すごいですね……。
西 喉をうるおして、ストレス発散をしないといけないですからね。
小笠原 ああ、それはいい表現ですね(笑)。
西 それが唯一の楽しみです(笑)。
西シェフ「なるべく試合には行かない」
小笠原 何気ない当たり前のことだけど、「これだけ大変なんだ」っていうことを選手や子どもたちにも知ってほしいですね。ACLのときだったかなあ。西さんに「試合会場へ行くんですか?」って何気なく聞いたときに「何を言っているの! 夕食の準備だよ!」って。なんかハッとしてしまって。そんなことも知らなかった。「試合を見て、サッとホテルに帰って、食事を作っているのかなあ」なんて軽く考えていた。
やっぱり、そういう裏方のスタッフの皆さんへの感謝の気持ちとか、アカデミーの子どもたちでいえば、親御さんが送り迎えをしてくれて、食事を作ってくれることへの感謝というのは、絶対に忘れてはいけないなと思います。
西 以前は試合を見に行っていたんです。でも一度、渋滞で選手より帰りが遅くなってしまったことがありました。だから、なるべく試合には行かない。自分の仕事はご飯を作ることなので、それを第一に考えて、変にリスクのあることはしない。選手のみんながケガなく帰ってきて、“美味しい食事を作って待っていますよ”というスタンスが、一番選手も安心するし、僕も安心するので、そういう風にしています。
小笠原 ここは太字で書こう! こういう人がいるおかげで選手は頑張れるということを、知らないといけないと思う。