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小笠原満男×代表シェフ西芳照対談。
食育とペペロンチーノ愛、蛙料理!? 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byL:Hirokazu Ikeda R:Takuya Sugiyama

posted2020/07/07 10:00

小笠原満男×代表シェフ西芳照対談。食育とペペロンチーノ愛、蛙料理!?<Number Web> photograph by L:Hirokazu Ikeda R:Takuya Sugiyama

現役時代から交流があったという小笠原(左)と西シェフ。ユース生たちの食事について語りながらも、思い出話に花を咲かせた。

食事が結果につながったアジア杯。

小笠原 アントラーズでも、昨年にアカデミーハウスが完成して、練習場から自転車で2、3分のところにあるので、練習後にすぐ食べられる環境があります。

西 それはすごく大事ですね。あと、アカデミー年代でよくあるのが、暑くて食べられなくなること。冷たいそばとかそうめんを食べることが多くありますけど、逆に胃腸を壊しやすくなるんです。暑いときほど、逆に熱いものを食べられるかは大事になるんじゃないかと思いますけどね。

小笠原 やはりそうなんですね。僕も同じ考えで、夏に暑いから食べられないではなく、どんなときでもどんなものも食べられる体づくりも重要じゃないかと思います。

西 まあ何よりもみんなでいろんな話をしながら、楽しく食べるのも大事ですよね。今は新型コロナウイルス感染症の影響で、横一列になって食べていますけど、その雰囲気をどうやって作るか。食事会場はご飯を食べる場というだけでなく、人と人がコミュニケーションを取る場所だと思っています。ご飯がおいしくなかったら、すぐに寮部屋やホテルの自室へ帰ってしまう。もしご飯がおいしければ、それを話題にコミュニケーションが生まれるかもしれない。こいつはこんなことを考えているのか。それがサッカーの話になればより良いことですよね。

 日本代表に同行した中国のアジアカップでは、トレーナーの早川(直樹)さんに「今まで選手が食事会場にこれだけ長くいたことはなかった。いつも2、3時間いて、それがいい結果につながったんじゃないか」と言われましたが、食事にはいろんな楽しみ方があると思うんです。

小笠原 昨年、ブラジル遠征に行って“いいな”と思ったのが、サンパウロFCのアカデミー施設にあった大きな食堂です。10歳からユース年代までの選手たち、様々なカテゴリーのスタッフがみんな一緒になって、1つの食堂でご飯を食べる。テレビでは各カテゴリーのゴール集が流れていたり、カテゴリーを超えてみんなでサッカーの話をしながら食事を取るというのは、すごくいいなあと思いました。

内緒で食べさせた「カエル料理」。

小笠原 西さんとは、代表のときに一緒に食材の買い出しに行きましたよね。

西 中国の重慶ですね。

小笠原 中国では「カエルを食事に出してみよう!」と買ってみたり。意外とおいしいんですよね!

西 みんなはカエルって知らないで食べていたからね。満男ちゃんが「言わない方がいい」ってことでね(笑)。

小笠原 「郷に入っては郷に従え」じゃないですけど、現地のものにふれるというのは大事なことかなと思うのでね(笑)。

西 買い出しに行った選手なんて、これまでも満男ちゃんと福西(崇史)さんだけでしたよ(笑)。あとはみんな「嫌だ!」って言っていたから、部屋で寝ていたんじゃないかなあ。3人で一緒にバスに乗っていきましたね。

小笠原 海外のスーパーはおもしろいですよね。こんなものを食べているんだ、こんなものが売っているんだと、見ているだけで楽しくて。特に東南アジア。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で遠征に行ったときは、散歩でスーパーへ行くようにしていました。食べることはできないけれど、売っているものを見るだけでもおもしろい。国の色が出るんですよね。「水が20円?」とか、「日本より高いなあ」とか、いろいろな発見がある。海外のスーパーは、西さんのおかげでよく行くようになりましたよ。

西 それはうれしいです(笑)。現地で食材調達をするときは、やはり鮮度を意識していました。日本から持っていくものもありますが、現地の鮮度のいいものにはかないません。現地のスーパーに行って、現地ならではの食材を見るのも楽しみですし、フルーツなどめずらしいものがあったら出してみたり。選手へのサプライズじゃないけれど、それが話題になって、みんなで少しでも長い間、楽しんでもらえたらと思っています。

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