ゴルフPRESSBACK NUMBER
小林浩美、宮里藍らの長所を全て持つ、
渋野日向子の本当の課題とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byKyodo News
posted2020/06/29 11:50
肉体強化の成果が見える現在の渋野日向子のスタイル。パターもまた、新しいものに変えたのだが……。
型にはまろうとしてはいないか?
そんな渋野がコロナ禍で止まっていたJLPGAの開幕戦となったアース・モンダミンカップで、いきなり予選落ちを喫した。
予選に落ちること自体は誰にでも起こること。だが、少々心配になったこともある。
せっかくの「規格外」なのに、型にはまろうとしてはいないだろうか。すでに「全部持っている」のに、さらに求めすぎてはいないだろうか。
肉体を強化し、体の捻り方を変え、52度のウエッジの操り方を磨き、新しいパターに持ち替え、トレーニングと練習をたくさん積んだと自負した上で臨んだ開幕戦。
たくさんのチェンジは、教科書通りを目指したのか、それとも渋野にとって、どうしても必要だったのか。
たくさんの「NEW」に気を取られ、意気込みすぎて、本来の集中力を欠いていたのではないだろうか。
「試合だと思うことで緊張感に襲われ、体が思うように動かなかった」
全英女子オープンの優勝争いを笑顔で戦い切ったあのときは、身も心も思い通りに動き、楽しくプレーしていたのではないだろうか。
立ち止まることもそこからの再生も未経験。
コロナ禍による予期せぬ休止状態からの再スタートは、誰にとっても難しい事態だ。
だが、先人たちが長い歳月をかけて一進一退しながら歩んできたのとは対照的に、長いはずの道程をあっという間に走り抜けてしまった渋野は、立ち止まることもそこからの再生も未経験だ。
期せずして押されてしまったポーズボタンをどうやって解除し、どうやって再び走り出すか。それが今の彼女にとって最大の課題であり、試練でもある。