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ヤクルト版“新しい観戦様式”。
僕はホテルの窓越しに開幕戦を見た。 

text by

長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

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photograph bySports Graphic Number

posted2020/06/22 17:00

ヤクルト版“新しい観戦様式”。僕はホテルの窓越しに開幕戦を見た。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

双眼鏡を通して試合を見守る長谷川氏。一塁側ヤクルトベンチが丸見えでファンにとっても嬉しい眺望だ。

「お部屋からの野球観戦をお楽しみくださいませ」

 こうして迎えた6月19日――。当初の予定より3カ月近く遅れた、待ちに待った2020(令和2)年ペナントレース開幕。昼過ぎから始まった打ち合わせも13時半には終了。ホテルのチェックインは14時だ。まさにジャストタイミング。

 心配なのは空模様だけだった。あいにく、東京地方は朝から雨が降り続いている。天気予報では夜に向けて、少しずつ降水確率は下がっているものの、もしも雨天中止にでもなったら目も当てられない。どうやって1人で時間を潰せばいいのだろう。「昨日、テルテル坊主を作っておけばよかったな」と少しだけ後悔した。

 14時ちょうどにチェックイン。ロビーには山田哲人のサイン入りユニフォームとバット、青木宣親のサイン入りユニフォームが丁寧に額装してある。

 対応してくれたフロントのお姉さんは数年前の「燕パワーユニフォーム」を着用している。さらに、案内された部屋に入ると窓際の机の上には、「お部屋からの野球観戦をお楽しみくださいませ」と、スタッフによる心のこもったメッセージカードまで置かれている。

「神宮グルメ」のテイクアウトで準備は万端!

 眼下では、すでにヤクルトナインの練習が始まっていた。

 持参した双眼鏡片手に、山田、青木らのバッティング練習に息を呑む。試合開始前にすでにテンションが上がる。

 部屋に入ってすぐにWi-Fiを設定し、ダゾーンの視聴チェック。ブルートゥースでポータブルスピーカーに繋いで音響環境もしっかり整備。そして、階下のコンビニで買いこんだ缶ビールを冷蔵庫にセット。少し熱めの風呂に入って穢れを落とし、万全の状態でそのときが来るのを待った。

 そして時刻は17:25に。僕は階下に降り、隣接する神宮球場で、事前予約していた「神宮球場グルメ」のテイクアウトをピックアップ。開幕に合わせて、期間限定で球場グルメのテイクアウト販売が行われることになり、前日まで(ネットなら当日朝8時まで)に予約すれば球場飯をゲットすることができるのだ。

 予約したのは「山田哲人のナンバー1カレー」(1000円)、「応燕バラエティーセット」(1200円)、「つば九郎焼き(3個入り)」(900円)だ。1人で食べるには多すぎるし、つぶあん入りの「つば九郎焼き」は3個もいらない。しかし、「1000円ごとに限定ポストカードプレゼント」ということで、3枚もらうために無理やり3100円にしたのだ。

【次ページ】 ファンは何を求めて野球を見るのか?

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