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中日の躍進は小型&大型の右腕次第!
山本拓実、梅津晃大の2人の物語。
text by
渋谷真Makoto Shibutani
photograph byKyodo News
posted2020/06/17 20:00
(写真左)山本拓実と梅津晃大という注目右腕。与田剛監督からの期待も特に大きい若手である。
万能変化球“スラッター”を武器に持つ山本。
小さな快腕。
フォーシームを投げれば150キロを計測し、変化球ではお股ニキ氏の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』を熟読し、お股氏が「万能変化球」と位置づけるスラッター(カットボールとスライダーのいいとこどり)をマスターした。尽きぬ好奇心。開幕前のラスト登板となった13日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では、リーグ屈指の強打線を相手に5回をパーフェクト投球で締めくくった。
「とにかく結果を求めて投げました。右にも左にもしっかりインコースに投げきることができた。開幕ローテはゴールではない。1年間投げきることが目標です」
ソトもオースティンもねじ伏せた投球にも、浮ついたところがない。そんな山本を与田剛監督は温かく見守っている。
「まだ(ローテーション投手としての)経験をしていないので、十分とはいえないけど、これからそういう投手に育てていかなきゃいけない。それだけの期待感はもっています」
スター世代にはさまれた世代の梅津。
山本の快投を受け、14日に最終登板を済ませたのが梅津。
こちらは大卒2年目。仙台育英から東洋大と王道を歩んでいるようにも見えるが、高校では1学年上が上林誠知(ソフトバンク)、馬場皐輔、熊谷敬宥(阪神)、1学年下が平沢大河(ロッテ)、佐藤世那(前オリックス)、郡司裕也(中日)といったスター世代にはさまれた上に、中心選手としては甲子園に出場できなかった。
大学では同期の甲斐野央(ソフトバンク)、上茶谷大河(DeNA)と「東洋三羽がらす」と呼ばれはしたが、通算1勝。しかし、プロのスカウトは「即戦力ではないが、スケールではナンバーワン」と眠っている能力を見抜いていた。
最速153キロ。
プロでも通用するフォークもある。
故障に負けず、その力を出せるか。そして、使う側が急かさず、待てるか。中日はその踏ん切りがついたから2位で指名した。