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DeNAを優勝に導くは石田健大か。
頼れる投手の今季にかける決意。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2020/06/16 20:00
石田健大は日本ハムとの練習試合に先発。開幕を前に、見事なピッチングで優勝への気合を見せた。
いろんな人間ときちんと付き合える。
人を見るというのは簡単なことではない。自分の準備が完璧にできていなければ、他者を気にする余裕は生まれないものだ。石田は誰よりも早くマインドセットし、まわりを見つめつづけた。また自分から声を掛けることはないと石田は語っていたが、法政大学時代からの先輩である三嶋一輝は、長年付き合いのある後輩の微妙な変化に気づいていた。
「石田は学生時代から、いろんな人間ときちんと付き合えるタイプなんですよ。人懐っこいところもあれば距離をとることもわかっている。真面目な顔も、おちゃらけた顔も持っている。たしかに口数が多い方ではないので、みんなの前であまり発言はしないんですけど、苦しんでいる後輩とかがいると、みんなのいないところで個人的に声はかけていたんじゃないですかね」
先発とリリーフ両方やってきたからこそわかる微妙なピッチャー心理、また若い投手たちも話しやすく経験豊富な石田を頼りにした。今やDeNAの投手陣にあって石田は精神的支柱になりつつある。
理想のピッチングは今永昇太。
そして今シーズン、サウスポーの石田は先発に専念するのではないかといわれていた。キャンプ中、ラミレス監督は「場合によっては中継ぎをやってもらうこともある」と語っていたが……。
入団以来こだわりを持ちつづけている先発のマウンド。キャンプのとき、先発として今季はどのようなプレーでチームに貢献したいかと石田に尋ねると、希望に満ちた表情で次のように語った。
「理想は去年の今永(昇太)のようなピッチングですよね。1-0で完封できるピッチャーというのはすごく魅力的だし、そういったピッチングができればなって。ただ、最近は長いイニングを投げてきていないので、そこは意識して経験を多くしていきたい。最低でも規定投球数をクリアし、そこで終わるのではなく先を目指す。そうすればおのずと数字はついてくると思います。あとはマウンドから降りるときはちゃんと3アウトを取ること。中継ぎをやったからわかるんですよ。ランナーを背負った状態でマウンドに行く大変さが。だから3アウトを取ってベンチに戻ること」