One story of the fieldBACK NUMBER
清原和博、甲子園中止への思いを語る。
「一緒に泣くことしかできない……」
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/06/02 20:00
高校時代、甲子園で実際に使用した金属バットを手にした清原和博。
人生のどん底にいた清原を支えた1本のバット。
今、清原は執行猶予明けを目前にしている。2016年、覚せい剤で逮捕されて受けた「懲役2年6カ月、執行猶予4年」の判決は、まもなく6月15日をもって効力を失う。
そんな清原の部屋には一本の金属バットがある。1985年夏の甲子園でホームランを打ったバットだ。それはこの4年間、人生のどん底にいた清原を支えてきたものの1つだ。
甲子園と切っても切り離せない人生を送ってきた。今年の球児たちへの想いは、そんな清原だからこそかもしれない。あの舞台を経験していない者には理解しがたいものかもしれない。
だけど、そういえば人間には、ただ泣きたい時がある。同情も慰めもいらず、ただただ誰かに一緒に泣いて欲しい時がある。
2020年の高校球児にとって、清原はそういう存在なのかもしれない。