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清原和博、甲子園中止への思いを語る。
「一緒に泣くことしかできない……」 

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2020/06/02 20:00

清原和博、甲子園中止への思いを語る。「一緒に泣くことしかできない……」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

高校時代、甲子園で実際に使用した金属バットを手にした清原和博。

「次の人生のステップとか」口が裂けても言えない。

  日本高校野球連盟から甲子園中止が発表された日、そのニュースについて、多くの人たちがコメントした。

『これを糧に、前を向いて新たな目標を見つけてもらいたい』

『大人たちが甲子園に代わる大会を考えてあげるべきだ』

  そういう声が、ウィルスによって甲子園を奪われた高校球児たちに贈られた。

 ただ清原は、彼らに贈る言葉なんてとても見つからないと言う。

「ぼくには口が裂けても言えません。次の人生のステップにしてほしいとか、大人が代わりの舞台を用意するとか、口が裂けてもそんなことは言えないです。甲子園に代わるものなんて、ないですから……」

「もし……、もし、ぼくが今年の高校球児だったら」と前置きした上で、清原は続けた。

「コロナ・ウィルスというのは誰の責任でもありません。野球よりも命が大事ですし、他人に感染させてしまうことは決して許されないことです。それはわかっています。わかっているんですけど、もし自分だったら、コロナにかかってもいいから、試合が終わってそのまま隔離されてもいいからやらせて欲しい。そう思うでしょう。17歳、18歳だったら、そう思うんじゃないでしょうか」

「ぼくは『え?』と思いました」

  どうやら、清原は甲子園を諦めきれていないようだった。あれから2週間、世の中の関心が甲子園中止をあっという間に通り過ぎて「さて、次の話題は……」と移ろっていく中で、ずっとわだかまり、考え続けている。

「今、世の中がものすごいスピードで進んでいく中、もう甲子園のことはニュースにもならないじゃないですか。でも、6月にプロ野球が開幕すると決まって、高校球児はどんな気持ちなんでしょう。

 ぼくは『え?』と思いました。

 まだ8月まで時間があるのに、本当に最後の最後まで検討してくれたんだろうか? そう思えてしまうんです……」

【次ページ】 「『あの時、甲子園やれたんじゃないか?』と」

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